日本ではナタデココもタピオカもスイーツとして受け入れられたが、ナタデココはともかく、タピオカは元来主食とされていたもの。当然ながら栄養価は高く、タピオカ・ミルクティーともなればカロリー、糖質とも牛丼の大盛りやカツカレーとほぼ同じになる。ココナッツを原料としたナタデココが低カロリーで消化のよい発酵食品であるのとは対照的である。
部活やジムで激しい運動をして大量の汗を流し、日常的に相当なエネルギーを消費する人はともかく、そうでない人はタピオカ・ドリンクをおやつにすることなく、食事の置き換えと捉えるのが賢明だろう。そうしないと一日4食しているのと同じで、完全なカロリーオーバーとなる。どんなに味がツボにはまろうとも、口にするのは週に一度くらいに抑え、置き換えが無理なら、その日は昼食か夕飯の量を減らすのが得策である。
南米の先住民は一日の食事が一回。それもキャッサバだけで済まし、終日狩りに費やすこともあったのだから、タピオカの栄養価を侮ってはならない。流行だから毎日必ずというのは避けたほうがいいだろう。
【プロフィール】しまざき・すすむ/1963年、東京生まれ。歴史作家。立教大学文学部史学科卒。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て現在は作家として活動している。著書に『ざんねんな日本史』(小学館新書)、『春秋戦国の英傑たち』(双葉社)、『眠れなくなるほど面白い 図解 孫子の兵法』(日本文芸社)、『いっきにわかる! 世界史のミカタ』(辰巳出版)、『いっきに読める史記』(PHPエディターズ・グループ)など多数。