芸能

吉本興業に従わない狂犬・加藤浩次が貴重な芸人である理由

狂犬と呼ばれた加藤浩次も50歳(イラスト/ヨシムラヒロム)

狂犬と呼ばれた加藤浩次も50歳(イラスト/ヨシムラヒロム)

 自身がメインMCをつとめる『スッキリ』(日本テレビ系)で、芸人の闇営業とそれに続く騒動を伝えたあと、所属する吉本興業経営陣への不満と不信を語気荒く語った加藤浩次。かつて、その傍若無人で反骨心まるだしの言動から「狂犬」と呼ばれた加藤も、朝の顔らしく落ち着いたと思われていただけに、世の中は大いに驚かされた。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、擬態しながら狂犬であり続ける加藤浩次について考えた。

 * * *
 吉本のお家騒動で目立つのが、加藤浩次の変わらぬ狂犬っぷり。自身がMCを務める朝の情報番組『スッキリ』では、身内にも関わらず忖度なき発言連発。視聴者からすれば、これほど楽しいテレビはないわけで……。

 振り返ってみると、闇営業のニュースが飛び込んできた当初から加藤は他の芸人と態度が違っていた。多くの芸人コメンテーターは、詐欺グループとの交流が問題視されているにも関わらず「素顔の宮迫さんはいい人」といったコメントに終始し、お茶を濁し続けた。持っている情報量は視聴者と段違い。それにも関わらず、出てくるのは視聴者でも言えるコメント。芸人コメンテーターが専門とする「吉本」の知見を披露する機会は少ない。対して加藤は浪花節に逃げることなく、吉本の企業体質について言及。意見の内容には賛否両論あるだろう。しかし、誰よりも早く他の芸人とは一味違うコメントを残していたのは事実だ。

 加藤が『スッキリ』のMCとなって13年経った。狂犬と呼ばれた男の牙が抜かれるには十分すぎる年月である。MCとはコメンテーター以上に安住したポジション。保身に走れば、オフホワイトな発言でやりすごすことも出来る。それこそ、狂犬が忠犬になってもおかしくない。しかし、加藤は年月を重ねるごとに独自のスタンスを強めていった。納得できないことがあれば、コメンテーターにも噛み付く。空気を読まない、暗黙の了解もしない。年々、朝のお茶の間に響く狂犬の咆哮は大きくなっていった。

 かつての人気番組『めちゃ2イケてるッ!』(フジテレビ系)で「狂犬」と呼ばれ始めた加藤。笑いのためなら、女性アイドルにプロレス技で大立ち回り。並大抵の芸人にはできない粗暴な振る舞いから命名された二つ名である。セットを壊すことも辞さない、やりすぎの果てに番組自体を壊してしまうことも。無断で自分がやりたいコントを撮影、ゲストと本気でケンカしたこともあった(流血する事態に)。私生活も荒れていたのだろう、加藤の借金を返すだけといった企画も……。

 そんな若き日の加藤、印象的だったのが常時ニヤケていた顔。大御所相手にもニヤニヤ、芸能界のしきたりを舐めきった態度をとっていた。海を渡ってやってきたNBAの狂犬デニス・ロッドマンにもニヤケ顔。舐めきった態度にロッドマンは通訳を通して「殴っていいか?」と加藤に尋ねたという。日米狂犬対決、「さすがにビビった」と加藤は語っていた。

 犬は主人に従順な生物だが、ふざけた狂犬は何にも従わない。加藤は所属する吉本クリエティブエージェンシーとの主従関係すら拒む。今回の騒動が起こる10年以上前、ラジオで「極楽とんぼ、吉本から推されたことなど一度たりともないですよ!」とすでに噛みついていた。狂犬の吉本に対する不信感は根深い。

 また、加藤は面白いことに狂犬と相反するインテリな素養も兼ね備えていた。仕事の変遷を追っていけば、『スッキリ』のMCが意外な抜擢ではないことがわかる。大人なタレントとなるためにコツコツと努力を重ねてきた。

 過激なバラエティ番組で知名度を上げた加藤は、自らの部活経験を生かし『スーパーサッカー』(TBS系)で初めて単独MCとなる。スポーツ番組で肩慣らしをした後、経済番組『がっちりマンデー!!』(TBS系)の MCも担当。加藤は経済の話題にも本気で取り組んでおり、草野球にほうける相方の山本圭壱に「お前が遊んでいる間、オレは飲み屋で普通のオッサンと株の話してるんだぞ!」と語っていた。

関連記事

トピックス

日本のブライダルファッションの先駆け的存在、桂由美さん
《芸能人も多数着用》桂由美さんが生前嘆いていた「ナシ婚」 ウエディングドレスで「花嫁を美しく幸せにしたい」強い思い
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
小野寺さんが1日目に行った施術は―
【スキンブースター】皮下に注射で製剤を注入する施術。顔全体と首に「ジュベルック」、ほうれい線に「リジュラン」、額・目尻・頰に「ボトックス」を注入。【高周波・レーザー治療】「レガートⅡ」「フラクショナルレーザー」というマシンによる治療でたるみやしわを改善
韓国2泊3日「プチ整形&エステ旅行」【完結編】 挑戦した54才女性は「少なくとも10才は若返ったと思います!」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン