MCの技能、スポーツと経済の知識を得た加藤は満を持して『スッキリ』のMC席に着席。行き当たりばったりではなく、数年間に渡り準備をして掴んだ大役。加藤は自らが思い描いたロードマップを正確に歩み続けた。

 唯一の誤算が2006年に起きた相方・山本の不祥事だろう。番組がスタートして3ヶ月目の出来事だった。しかし、最悪の事態でこそ人の底が見える。事件後、初めての『スッキリ!!』(※当時の番組名)で加藤は山本の吉本解雇を涙ながらに報告。「相方として深くおわびします」と自らの言葉でハッキリと謝罪した。逃げも隠れもしない態度を視聴者は高評価。相方の不祥事を通して、加藤は良識ある大人のMCとして世間に認められていった。なんとも皮肉な事態ではあるが……。

 しかし、事件の裏側に狂犬あり。実は『スッキリ!!』でのコメント、当初は吉本陣営から内容への指示があった。それに対して加藤は「オレが好きなように話させてくれ!」と激怒したという。

 不祥事から10年、極楽とんぼは再始動。AbemaTVでレギュラー番組『KAKERU TV』(2017年4月~2019年4月、AbemaTV)、その後継番組『極楽とんぼのタイムリミット』(AbemaTV)を担当している。そこで加藤は近年見せることがなかったニヤけた狂犬ぶりを披露する。報道に物申す硬派な狂犬とは異なった側面。極楽とんぼの笑いは、偶発的なハプニングから発生することが多い。そのため、加藤は山本をけしかけ続け、笑いの神様の降臨をひたすら待つ。狼狽する山本を横目に加藤はニヤニヤ。狂犬の反抗期は終わらない。

 今後も吉本興業をめぐる騒動は続くことだろう。節目、節目の加藤の態度に「日和ったか」「裏切り者」といったコメントも出るはず。しかし、理不尽な権力や圧力に吠えた狂犬の姿を忘れてはいけない。加藤は良い意味で自前の言葉に頼っている。生放送で物事を批評できる芸人は貴重だ。

●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで週一回開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。テレビっ子として育ち、ネットテレビっ子に成長した。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)

関連記事

トピックス

世界中を旅するロリィタモデルの夕霧わかなさん。身長は133センチ
「毎朝起きると服が血まみれに…」身長133センチのロリィタモデル・夕霧わかな(25)が明かした“アトピーの苦悩”、「両親は可哀想と写真を残していない」オシャレを諦めた過去
NEWSポストセブン
人気シンガーソングライターの優里(優里の公式HPより)
《音にクレームが》歌手・優里に“ご近所トラブル”「リフォーム後に騒音が…」本人が直撃に語った真相「音を気にかけてはいるんですけど」
NEWSポストセブン
キャンパスライフをスタートされた悠仁さま
《5000字超えの意見書が…》悠仁さまが通う筑波大で警備強化、出入り口封鎖も 一般学生からは「厳しすぎて不便」との声
週刊ポスト
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
エライザちゃんと両親。Facebookには「どうか、みんな、ベイビーを強く抱きしめ、側から離れないでくれ。この悲しみは耐えられない」と綴っている(SNSより)
「この悲しみは耐えられない」生後7か月の赤ちゃんを愛犬・ピットブルが咬殺 議論を呼ぶ“スイッチが入ると相手が死ぬまで離さない”危険性【米国で悲劇、国内の規制は?】
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
“ボディビルダー”というもう一つの顔を持つ
《かまぼこ屋の若女将がエプロン脱いだらムキムキ》体重24キロ増減、“筋肉美”を求めて1年でボディビル大会入賞「きっかけは夫の一声でした」
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン