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2019.08.13 07:00  NEWSポストセブン

吉本興業に従わない狂犬・加藤浩次が貴重な芸人である理由

 MCの技能、スポーツと経済の知識を得た加藤は満を持して『スッキリ』のMC席に着席。行き当たりばったりではなく、数年間に渡り準備をして掴んだ大役。加藤は自らが思い描いたロードマップを正確に歩み続けた。

 唯一の誤算が2006年に起きた相方・山本の不祥事だろう。番組がスタートして3ヶ月目の出来事だった。しかし、最悪の事態でこそ人の底が見える。事件後、初めての『スッキリ!!』(※当時の番組名)で加藤は山本の吉本解雇を涙ながらに報告。「相方として深くおわびします」と自らの言葉でハッキリと謝罪した。逃げも隠れもしない態度を視聴者は高評価。相方の不祥事を通して、加藤は良識ある大人のMCとして世間に認められていった。なんとも皮肉な事態ではあるが……。

 しかし、事件の裏側に狂犬あり。実は『スッキリ!!』でのコメント、当初は吉本陣営から内容への指示があった。それに対して加藤は「オレが好きなように話させてくれ!」と激怒したという。

 不祥事から10年、極楽とんぼは再始動。AbemaTVでレギュラー番組『KAKERU TV』(2017年4月~2019年4月、AbemaTV)、その後継番組『極楽とんぼのタイムリミット』(AbemaTV)を担当している。そこで加藤は近年見せることがなかったニヤけた狂犬ぶりを披露する。報道に物申す硬派な狂犬とは異なった側面。極楽とんぼの笑いは、偶発的なハプニングから発生することが多い。そのため、加藤は山本をけしかけ続け、笑いの神様の降臨をひたすら待つ。狼狽する山本を横目に加藤はニヤニヤ。狂犬の反抗期は終わらない。

 今後も吉本興業をめぐる騒動は続くことだろう。節目、節目の加藤の態度に「日和ったか」「裏切り者」といったコメントも出るはず。しかし、理不尽な権力や圧力に吠えた狂犬の姿を忘れてはいけない。加藤は良い意味で自前の言葉に頼っている。生放送で物事を批評できる芸人は貴重だ。

●ヨシムラヒロム/1986年生まれ、東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。イラストレーター、コラムニスト、中野区観光大使。五反田のコワーキングスペースpaoで週一回開かれるイベント「微学校」の校長としても活動中。テレビっ子として育ち、ネットテレビっ子に成長した。著書に『美大生図鑑』(飛鳥新社)

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