強豪チームがどんどん敗退することで、よりモチベーションは上がった。決勝に出た時点で「もう行くしかない」と頂点へ駆け上がることだけを考えた。
甲子園優勝投手となった森尾はプロからの誘いを蹴り、社会人野球の強豪・新日鐵八幡(現NIPPON STEEL)に入社するが、5年目に肘の手術をし、29歳の時、廃部とともに引退。
「プロ志望を公言していたら指名はあったと思いますが、いかんせん高校3年の夏の甲子園しか実績がなく、毎年勝負のプロでやっていく自信が持てなかった。入社時は総務部でしたが、引退後は自動車のボディに使われる薄い鉄板の生産管理をしています。高校野球の指導者になって、もう一度甲子園に行きたい思いはずっとあります」
取材・文■松永多佳倫 撮影■山崎力夫
※週刊ポスト2019年9月6日号