芸能

横内正 長いシリーズに出演しつづけることの功罪

横内正は長期間に渡り「格さん」を演じた

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優の横内正が、俳優座が制作協力に入っていた縁で出演した『水戸黄門』の初代「格さん」役や、19年間にわたった『暴れん坊将軍』での大岡越前役について語った言葉についてお届けする。

 * * *
 横内正は一九六七年、NHK朝の連続テレビ小説『旅路』に主演、一躍その名を世間に知らしめる。

「その前の年に樫山文枝さんが主演した『おはなはん』が大ヒットして、その後で抜擢されたものだから名前が一気に全国区になりましたね。

 新劇という六本木の村の中だけに留まっていたらまた別の人生が開けたかもしれません。ただ、それが外にわっと広がったものだから、ここで僕の行く方向性は変わっていきました」

 六九年にスタートした『水戸黄門』(TBS)では初代「格さん」を演じている。

「東野英治郎さんが主演をおやりになるので、俳優座が制作協力に入っていたんです。僕は当時座員だったから『出ろ』と言われたら『嫌だ』とは言えなかった。ましてや主演が東野さんで、中谷一郎さんもいて、そういう流れの中で時代劇の世界に入っていくようになりました。

 時代劇は普通のナチュラルな芝居に比べて飛躍があります。時を飛ぶことができる。それにセリフにも調子があります。そういう躍動感が面白かった。

 僕自身が密かにずっと考えていた、演劇を基本にした純芸術至上主義からはかなり遠いところまで世界が拡散していきましたね。お芝居にはこんな世界もあるんだと味わうことができた。

 ただ『これがやりたい』という自分の思い込みだけでは成立しない『お仕事』の中に自分自身をどう生かすか。何もかもをマイナスに捉えるのではなく、そういう作品からでも、いただけるエッセンスはいただこうという気持ちで吸収していきました。ですから、カチンカチンの芸術至上主義的な演劇だけでなく、お芝居でいかにお客さんに楽しんでもらえるかという意識を持てるようになりました」

関連記事

トピックス

第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン