国際情報

GSOMIA破棄、日本より韓国が被るダメージが大きい根拠

北朝鮮の演習。戦禍が繰り返されるのか(写真/AFP=時事)

 文在寅政権が破棄を決定したGSOMIA(軍事情報包括保護協定)について、韓国の李洛淵首相は国会で、「日本が不当な措置(輸出管理厳格化)を元に戻せば、韓国も再検討する」と述べた。“安倍政権が頭を下げるなら、GSOMIAを続けてやってもいい”という上から目線だが、「協定破棄で大きなリスクを負うのは、むしろ韓国のほうだ」と専門家は指摘する。

 海上自衛隊で自衛艦隊司令官(海将)を務めた香田洋二氏が協定の意義をこう解説する。

「GSOMIAは、“お互いから得た情報を第三国や第三者に流さない”という取り決めで、細かい情報管理のあり方まで具体的に定めています。協定の締結により、日本と韓国の間で、機密性の高い軍事情報の交換が可能になりました。

 日米、米韓と違い、軍事協力のための条約が存在しなかった日韓の間で軍事的な交流を深める根拠ができ、日米韓の擬似的な“3国同盟”を成り立たせる象徴的な意義が大きかった」

 協定によって北朝鮮の弾道ミサイルに関する情報を把握する三国の力は向上した。

「例えば8月24日に北朝鮮が発射した飛翔体は、高度約90kmまで達した上で距離370km先で弾着したとみられています。打った直後の飛翔体の動きについては、韓国のイージス艦や在韓米軍のTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)のレーダーが掴み、高度20~30kmまで達すると日本のミサイル防衛システムなどのレーダーが捕捉。弾着地点については近くに日本や韓国のイージス艦がいれば確認できる。このように日米韓のデータを突き合わせることで飛翔体の全体像を把握することが可能になっています」

 そうやって機能してきたGSOMIAが、今回の韓国による一方的な協定破棄の通告を受け、11月23日、協定は効力を失う。

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン