「多様な人種の役柄が増えているのが間違いないのですが、それを演じる俳優についてはやはりネイティブに近い英語力が求められますね。“日本人”としてではなく、“アジア系アメリカ人”としての演技が必要となるわけです。さらにいえば、俳優は日本人だったとしても、役どころは中国系であったり韓国系であったりすることもあります。さまざまな文化的背景などもある程度理解する必要がある。アジア系俳優としてのチャンスは増えていますが、単純に“日本人俳優”としてのチャンスが増えているわけではないということですね。むしろ、それに日本人の役を担う俳優は渡辺さんや真田さん、さらには浅野忠信さん(45)など、すでに何人かいて、そこに小栗さんが割って入るのはそう簡単なことではない。小栗さんがハリウッドで成功するために超えるべきハードルは決して低いものではないと思いますね」(大塚氏)
また、アメリカで成功するために絶対に避けて通れないのがオーディション。日本ではスター俳優である小栗も、ハリウッドではオーディションを勝ち抜いて仕事を獲得しなければならないことも多いだろう。映画関係者はこう話す。
「海外では無名に近い小栗なので、最初のうちはやはりオーディションに参加して、地道に役を勝ち取っていく必要はあるでしょう。そこで、いかにして自分の演技力やキャラクターを見せられるかが最重要。たとえば、真田であればアクションという武器を持っているし、渡辺にしても時代劇での経験を『ラストサムライ』で発揮したことが大きかった。そういった形で小栗がどんな“武器”をアメリカで見せるのかが成功のカギとなるでしょうね。そして、これまで日本で恋愛モノから時代劇、アクションなど幅広い作品に出演している小栗ですが、“小栗旬といえばこれ”というわかりやすい特徴がないのも事実。そういったなかで、自分をどうアピールするのかは気になるところです」
オールマイティーな俳優であるがゆえに、ハリウッド進出における戦略が難しそうな小栗。アメリカで成功するまでの道のりは、それなりに険しいものとなるかもしれない。