「生存率が高い施設には、かなりの確率で腕のいい医師がいるはずです。ただし上位にランクインしている病院はある意味で“総合評価”だと考えてください。つまり、医師の腕はよいけれど、患者さんも比較的若くて状態がいい人ばかり、という状況が想像できます。一方、難しい状態の患者さんを受け入れ、リスキーな手術に挑戦する施設は、数値が低くなるのです」
さらに、医療の専門家の読み解き方をもう1つ紹介しよう。『胃がん・大腸がんを治す、防ぐ!』(さくら舎)の著書がある医師の近藤慎太郎さんは「患者数」と「ステージIの生存率」に注目すべきだと指摘する。
「患者数の多い病院は、ほかの病院からの紹介状を書かれることが頻繁であると推察できます。つまり、他院の医師から信頼されており、患者さんからも人気がある病院であることが多いはずです。また、それだけ症例数が多いわけだから、経験も豊富だといえるでしょう。
逆に、がんの初期で、比較的根治しやすいステージIの患者さんの生存率が低い施設は、何か要因があるのではと考えるのが自然です」
つまり、患者数が多く、ステージIの生存率が高い病院は、信頼できる可能性が高いということだ。住んでいる地域の近くの施設から、該当する病院を選ぶのも手だ。
【ランキングの見方】
国立がん研究センターが集計した全国277病院における、乳がん・胃がん・大腸がんのステージ別の5年生存率を掲載。本誌ではデータの多い患者数100以上の病院に絞った。その中で、ステージI~IV全体での5年生存率が高い順でランキングを作成。100位より下は掲載していない。
※記載しているのは2009~2010年当時の病院名。
※生存率は、対象となった患者数が30人未満の場合は「―」表示。
※「患者数」には、その病院で初めて診断された患者もいれば、再発やセカンドオピニオンで訪れた患者の可能性もあり、重複を含む。
※女性セブン2019年9月19日号
乳がん 女性の罹患率1位、死亡率6位
乳がん 女性の罹患率1位、死亡率6位
胃がん 女性の罹患率4位、死亡率5位
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大腸がん 女性の罹患率2位、死亡率1位
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