夏井:この中でいちばんいい句はこれです。「秋雨や ポッカリ目覚め 爪を切る」。これはめちゃくちゃ才能ありです!
室井:ホントですか! 私も実は、これがいちばん自信作なんです。
夏井:私は駄目な時ははっきり言う性質なので。これを持って『プレバト!!』に来たら、70点以上です。
室井:やったー!! これは、季語を「コオロギや」にしようかなとも思ったんだけど、夜中にポコッと目が覚めて爪を切るとしたら、やっぱり、秋雨かなと思って。
夏井:秋雨の方が断然いいです。コオロギだとコオロギの音で目が覚めましたっていう因果関係になるけど、秋雨って、静かに降るようなイメージがあるでしょう。ぽっかり目覚めて、何か眠れなくなって、爪を切っているという光景を、秋雨という静かな季語が包んでます。「ポッカリ」を「ぽっかり」って平仮名にしたら完璧だった。
室井:ああ、そうなんだ。
夏井:カタカナだと必要以上に明るい感じになっちゃう。元気な感じっていうか、硬質な感じっていうか。
室井:私がまたカタカナが大好きなんですよ。この本の題名にもカタカナが入ってるし、中にもいっぱいカタカナが出てきます。
夏井:明るい証拠ですよ。明るくて元気がある人はカタカナを使いたくなっちゃう。とにかくこの「秋雨や~」は面白いです。十二分にいけてます。私の本を読んで、ここまで作れる体になっているという事実がうれしいです。この調子なら、旅をしながらいくらでも作れますね。
◆室井滋さんが地元・富山でサイン会を開催します!!
9月23日(月・祝)午後1時30分から、室井滋さんが『ヤットコスットコ女旅』刊行記念のとして、富山駅前のショッピングセンター「マリエとやま」内にある「清明堂書店」でサイン会を開催します。
会場:マリエとやま 6階 (〒930-0003 富山県富山市桜町1-1-61)
*本の清明堂書店は、館内5階のフロアにあります。
*サインは、「清明堂書店」にて新刊『ヤットコスットコ女旅』をご購入になったかたに限ります。ご了承ください。
◆室井滋/むろい・しげる。女優。富山県生まれ。映画『居酒屋ゆうれい』『のど自慢』などで多くの映画賞を受賞。2012年日本喜劇人大賞特別賞、2015年松尾芸能賞テレビ部門優秀賞を受賞。また、絵本『しげちゃん』シリーズ(金の星社)ほか電子書籍化含めエッセイや絵本など著書多数。新曲『ウイルスのチャチャチャ』を日本コロムビア、iTunes、レコチョクで配信中。全国各地でしげちゃん一座絵本ライブを開催中。
◆夏井いつき/なつい・いつき。俳人。俳句集団「いつき組」組長。1957年愛媛県生まれ。1994年俳壇賞、2000年中新田俳句大賞を受賞。全国高等学校俳句選手権「俳句甲子園」の創設に携わる。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」選者なども務めている。『超辛口先生の赤ペン俳句教室』(朝日出版社)や『子規365日』(朝日新聞出版)など著書多数。『プレバト!!』(MBS系)の辛口添削でも大人気。全国各地で句会ライブを開催中。
撮影/木村直軌
※女性セブン2019年9月26日・10月3日号