拓殖大学国際学部教授の呉善花氏
──それでは曹国氏の娘の件も全く不思議ではないと。
呉:韓国は世界的に見てもかなりの不正・腐敗大国ですが、その前身の李朝はといえばそれどころではなく、もはや不正・腐敗が慣習として根付いているといっていいほど酷いものでした。李朝末期には多額の金銭と有力な権力者のツテがなくては、官職にありつくことが事実上不可能でした。それどころか、管理の資格を得るための試験である科挙(高級官僚登用試験)の合否までが、金とツテのあるなしで大きく左右されたのです。
こうした傾向はとくに18世紀から盛んになりはじめ、国王自らが官職、官位、学位(科挙及第資格)を公然と売ることが行われました。それに大臣たちが倣い、しだいに当然の慣習として根付いていったのです。今回の曹氏の一件も、韓国の歴史を遡れば、さもありなんといわざるをえません。
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前述したように曹国氏は検察改革を旗印にしているが、文在寅大統領が側近として仕えて私淑した盧武鉉元大統領は検察から不正資金疑惑の捜査を受け、退任後の2009年に自殺している。そのため、文在寅氏が検察への恨みを晴らすために任命したという声もあるが、いずれにせよ、曹国氏は自身の潔白を証明できなった場合、文政権が崩壊するのは時間の問題だろう。
【PROFILE】呉善花(オ・ソンファ)/1956年韓国済州島生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。現在、拓殖大学国際学部教授。著書に『韓国と北朝鮮は何を狙っているのか』(KADOKAWA)、『超・反日 北朝鮮化する韓国』(PHP研究所)など多数。