結局、チームは7対8で初戦を落とした。是が非でも勝たなければならない短期決戦で、今季3試合登板のバリオスを送り出したラミレス采配は批判を浴びた。エスコバーの回跨ぎ、8回のピンチで抑えの山崎康晃を使わなかったことも疑問視された要因のひとつだ。
「いずれも、常識的に考えれば至極真っ当な意見です。しかし、もしバリオスが抑えて7対1のまま勝利したら、この起用法が叩かれることはなかったでしょう。おそらくラミレス監督は、日本シリーズまで含めたその後の戦いを見据えた上で、バリオスを起用したのではないか。シーズン中であれば、7回には三嶋一輝や国吉を使ったはず。しかし、できるだけ中継ぎを起用せず、巨人とのファイナルステージに勝つことを考えて、疲労を蓄積させないようにしたのでは」
結果的にバリオス起用は失敗に終わり、ラミレス監督は批判を浴びた。一方で、称賛された采配もある。阪神とのCS第2戦、9回裏一死1塁の場面で左投手の岩崎優に対して、左の乙坂智を代打に送った。今季、乙坂は左投手に対して打率1割7分5厘。凡退していれば、これも批判の対象となっただろう。しかし、乙坂はサヨナラホームランを放った。
「采配は結果論で語られがちです。乙坂の代打、石田の先発、今永の中継ぎは成功した。このままファーストステージを勝ち上がり、もしファイナルステージで巨人を破ったら、“ラミレスマジック”と称えられたはずです。バリオスの起用も、ラミレス監督は失敗したら方々から非難を浴びると分かっていたに違いない。それでも、批判を恐れずに信念を持って、大胆に思われる作戦を敢行する。監督として最も大切な資質を持っていると思います。普通なら、思いついても常識を考えて躊躇してしまいますから」