スポーツ

日本の競走馬が世界的に劇的に強くなった歴史を振り返る

昨年JCを驚異のレコードで勝ったアーモンドアイ

昨年JCを驚異のレコードで勝ったアーモンドアイ

 平成19(2007)年、日本は国際セリ名簿基準委員会(ICSC)の格付けで世界で16番目の「パートI」国となり、競馬一流国と認められた。「国際化」の象徴ともいわれる出来事だったが、それで何が変わったのか。競馬歴40年のライター・東田和美氏が、競馬の国際化についてつづる。

 * * *
 それまでは日本でGIレースを勝っても、海外では「GI馬」とは認められず、海外のセリ名簿に実績として記すことができなかった。

 競馬の開催日数や出走頭数、馬券売上や賞金は世界トップレベルでも、出走馬に制限があり、世界の馬に広く門戸を開いていないというのがその理由。かつてはクラシックをはじめ、外国馬が出られないレースが多かったのだ。JRAは馬産地関係者などと粘り強く折衝を重ね、徐々に出走制限を緩和させていくことで、「国際化」を推し進めていった。

 いまでは多くのレースが国際レースとなり、外国調教馬(以下「外国馬」と表記)が出走できるようになった。

 ジャパンカップ(JC)はまさに国際化を目指す第一歩として昭和56(1981)年に創設され、第2回などは外国馬10頭に対し日本馬が5頭だけと、国際レースにふさわしいものだった。平成9(1997)年までにJCに出走した外国馬は140頭以上、17回のうち12回は外国馬が優勝と、その強さを見せつけられるばかりだった。

 ところが後にヨーロッパに遠征して凱旋門賞で2着にはいるエルコンドルパサーが勝った平成10(1998)年あたりから、日本馬が優勢になり、その後の21回で外国馬の優勝はわずかに2回。招待レースであるにもかかわらず、出走馬も徐々に減っていった。2000年には1着賞金がそれまでの倍近い2億5000万円に、さらに27(2015)年からは3億円になったが、外国馬は掲示板に載ることすらなくなってしまった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン