ビジネス

資生堂・魚谷雅彦社長 プロ経営者の評価を上げた3つの手腕

入社式で新入社員とハイタッチする資生堂・魚谷雅彦社長(時事通信フォト)

入社式で新入社員とハイタッチする資生堂・魚谷雅彦社長(時事通信フォト)

 複数の企業を渡り歩き、思い切った改革を断行する“プロ経営者”。日本でも名を馳せるプロ経営者は数多くいるが、経営手腕や成果が必ずしもネームバリューと比例していないのが現状だろう。そんな中、プラスの実績を残し続けているのが、資生堂の魚谷雅彦社長だ。ジャーナリストの有森隆氏が、魚谷氏の「腕前」を評価する。

 * * *
 資生堂・魚谷雅彦社長の2024年までの続投が決まった。2014年に就任したから、これで10年間トップを務めることになる。1987年~1997年に社長だった創業家出身の福原義春氏以来の長期政権となる。役員指名諮問委員会の答申に基づき9月26日の取締役会で執行役社長として再任が決まったが、執行役員の任期は延長しても原則6年がリミット。2019年度がちょうど6年目だった。

 これまで日本企業では、原田泳幸氏(ベネッセホールディングス)、藤森義明氏(LIXILグループ)、玉塚元一氏(ローソン)など社長請負業であるプロ経営者たちが結果を出せないまま表舞台から去ったが、マーケディングのプロである魚谷氏は就任からわずか3年で結果を出した。

「3年前に計画を作ったとき、社員の多くが本当にできるのかと思った。今は『やればできる』と自信を持っている」

 2018年2月8日、2017年12月期の連結決算を発表した魚谷社長は冗舌だった。売上高は前期比18.2%増の1兆50億円、営業利益は2.2倍の804億円、純利益は29.1%減の227億円だった。なにがサプライズだったかというと、売上高を当初予想より200億円上回る1兆円の大台に乗せたこと。2020年を目標としていた「売上高1兆円」を3年前倒しで達成したのである。

 営業利益も予想を155億円上回り、2008年3月期に記録した最高益634億円を大きく超えた。資生堂は2015年3月期決算を締めた後、12月決算に移行したが、純利益は50億円としていたのが177億円上振れした。

 決算発表を受けて資生堂株は急騰。決算発表前日の2月7日の終値が5488円だったが、1週間後の2月15日には一時6427円に上昇した。これは2010年来の高値である。その後、インバウンド景気の追い風に乗り、株価は上昇を続け、2018年6月7日には9250円の上場来高値をつけた。2010年来安値の938円(12年10月11日)の実に9.8倍に大化けした。

関連記事

トピックス

民放ドラマ初主演の俳優・磯村勇斗
《ムッチ先輩から1年》磯村勇斗が32歳の今「民放ドラマ初主演」の理由 “特撮ヒーロー出身のイケメン俳優”から脱却も
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン