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資生堂・魚谷雅彦社長 プロ経営者の評価を上げた3つの手腕

◆新たな大型買収には不安も

 だが、今後の経営には不安要素もある。資生堂は10月8日、欧米で若者に人気のある化粧品ブランド「ドランク・エレファント」を展開する米ドランク・エレファント(デラウェア州)を8億4500万ドル(907億円)で買収する契約を結んだと発表した。ベア社に次ぐ大型買収である。

 ドランク社は2012年の創業で2018年の連結売上高は7500万ドル(約80億円)。米国を中心に英国、オーストラリア、シンガポールなどでスキンケア商品を販売している。資生堂は天然素材など肌に良い原料を用いた高品質のスキンケア商品を売りにしているブランドをテコに海外事業に弾みをつけたいとしている。

 魚谷氏にとっても米国事業の赤字(2018年12月期は148億円の営業赤字)を一発逆転させたいところだが、「ベア社の二の舞にならなければいいのだが」(化粧品業界担当のアナリスト)との懸念もある。感度の高い若い顧客を一朝一夕に獲得できるほど甘くはないだろう。

「業績が好調な時こそ滑りやすい。油断は禁物」──。ホンダを創業した本田宗一郎氏の言葉である。果たして、今後も魚谷氏はプロ経営者としての真価を発揮し続けることができるか。

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