興味深いことに、共産党も吉田裕も憲法論の枠内で天皇制を支持している。本当にこれだけでいいのだろうか。

 と思っていたら、「文藝春秋」十一月号の巻末コラムで坪内祐三が面白い視点を提示している。坪内は本誌でも美術批評を連載中だ。

「平成に入って大震災をはじめとする天変地異や長雨などの異常気象が多すぎるが、それは天皇霊が弱いからだ」「かつて村の長の最大の仕事は天気を動かすことだった。長雨が続けばそれを止め、逆に雨不足の時は降らす。天皇が日本の長だとしたら同様の役割をはたさなければならない。そして天皇には天皇霊が強い天皇と弱い天皇がいて、強い天皇はその役割をはたす」

 と坪内祐三は思ってきたのだが、最近、丸谷才一や大野晋の著作によって考えを改めた。丸谷は言う。

「この数十年間で最悪の名づけは平成といふ年号だつた。不景気、大地震、戦争とろくなことがないのはこのせいかも、と思ひたくなる」

「日本語ではエ列音は格が低い」
「ヘイセイ(実際の発音はヘエセエ)はこのエ列音が四つ並ぶ」

 これは突拍子もない意見に思われて、そうではない。天皇制の淵源は憲法に求めるのではなく、民俗学、宗教学の知見を踏まえて考える必要がある。この六十年、皇室ニュースを率先して取り上げるのは女性誌であることに、知識人は恥じるべきだろう。

●くれ・ともふさ/1946年生まれ。日本マンガ学会前会長。近著に本連載をまとめた『日本衆愚社会』(小学館新書)。

※週刊ポスト2019年11月1日号

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