生徒総会では、まさかの提案が飛び出した(10月17日)

 こうしてスタートした生徒総会。真っ先にステージに上がった生徒が発した議案が、まさかの「定期テストの復活」だった。

「積み重ねテストでは日常的に勉強を続けなくてはいけないので、受験勉強との両立が難しくなる。3年生は定期テスト制に戻してほしい。あらためてアンケートを取るのはどうでしょうか」(2年女子)

「高校に入って急に定期テストをするということが不安。だから、定期テストをやってほしい」(1年女子)
 
 積み重ねテストとは、100点満点の定期テストの代わりに、10点満点の小テストを10回、ないし20点×5回に分けて行うというもの。「ミルフィーユテスト」というかわいらしい愛称がつけられ、週3日程度(1日1単元)、始業前の20分間で実施している。

 芳しい点数がとれなくても、後日、敗者復活の「チャレンジ・テスト」も用意されており、通知表の成績には良いほうの点数が反映される仕組みだ。

 実は、生徒総会で定期テスト廃止が決まる前から、西郷校長は定期テストの弊害を感じていた。

「100点満点のテストで高得点をとるためには、中間考査なら5教科、期末考査なら9教科の準備を行わなければなりません。部活や塾を抱えている現代の子どもにとって、これは大きな負担です。

 しかも定期テストは成績に直結するため、高校進学といった将来にも関わってくる。保護者から過度な期待をかけられ、追い込まれて不安定になる生徒や、学校に来られなくなる生徒もいました。ある意味、昨年の生徒総会での定期テストの廃止議決は、渡りに船でもありました」(西郷校長)

生徒総会では、全生徒に議案書が配られる(10月17日)

 積み重ねテストは単元ごとに勉強できるので、「高得点を取りやすくなった」(3年男子)と、おおむね歓迎する声が多い。だが、「テストは簡単だけど、毎週3回あるから勉強量が多い」(別の3年男子)という声もある。実は、これこそが西郷校長の狙いでもある。

「まるで競馬の予想屋のように、定期テストの予想問題を作成する塾が学区内だけで3つもあります。そこで問題を入手すれば、7割はとれてしまう。これでは本当の学力はつきません。また、定期テストの直前だけ丸暗記して、終わったらすっかり忘れてしまうという悪循環のため、本当の学力が身につきにくいという問題もありました。

 一方の積み重ねテストは、実は日頃からコンスタントに勉強をし続ける必要があるため、学力だけでなく勉強する習慣も身につきます。また、学んだことをすぐにテストで確認できるので、学習定着率も上がります」(西郷校長)
 
 実際、積み重ねテストを導入した後、学校全体の学力は顕著に上がっている。「間違いなく世田谷区でトップクラス」と西郷校長は胸を張る。

◆生徒たちが「自分でものを考え、行動する習慣を」

関連記事

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン