この数多の神々と神器を祀る宮中三殿において挙行される「賢所大前の儀」と「皇霊殿神殿に奉告の儀」とは、即位礼を行うことをそれぞれに奉告する儀式であるという。この儀式に際し、天皇陛下は純白の神事服を、皇后は純白の十二単をお召しになり臨まれる。
さらにこの神聖な宮中三殿に拝殿するにあたっては、厳格なルールが設けられており、禁忌(タブー)も存在するという。竹内さんが続ける。
「賢所の正門は、平常は固く閉ざされており、儀式祭典の時だけ開門します。たとえ関係者が近くに立ち寄ったときにも、正門からは中を覗き込むことはおろか、前を横切ることも厳禁とされています。また、賢所の参拝においては“柏手を打たない”のが作法とされています。
また賢所の出入りに、天皇皇后両陛下が使用するのが北門、皇太子同妃両殿下が使用するのが東門となっています」
宮中祭祀は年間20近くが行われる。宮内庁とは別の内廷組織である「掌典職」が司り、私たちはその様子を目にすることはできないが、連綿と皇室に伝えられている祭祀に日々臨み、国民の平和と安寧を祈っているという。
上皇上皇后両陛下も祭祀に熱心に臨まれ、御病気の時以外は代拝を立てることなく臨まれていたという。その国民の行く末を真摯に思う心はきっと、天皇皇后両陛下にも受け継がれていることだろう。