国内

変化する医療 虫歯は削る治療から「溶かす治療」へ

多くの人が苦い思い出を持つ虫歯は「溶かして治す」が最新(写真/PIXTA)

「良薬は口に苦し」ではないが、われわれ日本人は、苦しい治療に耐えてこそ、病気を克服できると思いがちだ。しかし、医学は痛みを取るという面においても飛躍的な変化を遂げている。

◆採血せずに血糖値を測る方法

 身近な生活習慣病などにおいても患者の苦痛を軽減できる最新機器が登場している。特に注目されているのは、糖尿病患者のための血糖値測定機器「Free Style リブレ」である。上腕部にセンサーを貼るだけで、血糖値を14日間にわたり測定、記録し続けることができるという。

「これまで血糖値を測るには、手の指にピンを刺して微量の採血を行う必要がありましたが、この機器を使えば、ほとんど痛みを感じることがないうえ、お風呂なども問題なく24時間体制で血糖値を測定できる。食事後の血糖値の急上昇や夜間や仕事中の低血糖を確実に把握でき、生活習慣の改善につながります」(都内の内科医)

 この「リブレ」について、医療に詳しいジャーナリストの村上和巳さんはこう評する。

「夜間の血糖状態の測定など、以前は手間も時間もかかったことが、負担なくできるようになったのは画期的です。加えて最近は、汗の成分から尿酸値を調べるような研究もあり、痛みを感じずに健康状態を把握するといった試みが進んでいるようです」

◆虫歯は「削る」から「溶かす」

 神経が張り巡らされた敏感な部分である目や歯の治療も日進月歩で進んでいる。

 眼球のレンズの役割を果たす水晶体が白く濁ることで起きる「白内障」や、視神経が死滅して失明することもある「緑内障」は、高齢になると多くの人がかかるリスクにさらされるが、新たな手術の技術が開発され、日帰りで終わることが一般的になった。

 二本松眼科病院の医師、平松類さんが言う。

「白内障はレーザーで行うものが最先端です。半自動の医療機器がすべてこなすからもともと安全な手術ですが、さらに精度が高くなった。眼内レンズを挿入する傷が小さくて済むため、縫う作業も必要ない。麻酔も目薬だけで済むことがほとんどで、10~30分程度で体に負担がかからず終わります」

 最近この手術を受けたという村上さんが言う。

「受ける前は恐怖感がありましたが、実際に受けてみると、まったく痛みがなくあっという間に終わり、本当に驚きました。視界が急に開けたように感じましたし、受けてよかった。渋っている人にこそおすすめしたい」

 長らく1週間以上の入院が必要だといわれていた緑内障の手術も負担が少ない手法が普及しつつある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
維新はどう対応するのか(左から藤田文武・日本維新の会共同代表、吉村洋文・大阪府知事/時事通信フォト)
《政治責任の行方は》維新の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 遠藤事務所は「適正に対応している」とするも維新は「自発的でないなら問題と言える」の見解
週刊ポスト
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン