国内

白タクという闇営業 安いが危険な「儲けのカラクリ」

中国人観光客向け白タクと見られる車(時事通信フォト)

中国人観光客向け白タクと見られる車(時事通信フォト)

 日本のタクシーは料金体系がはっきりしておりトラブルが少なく安全だと言われている。にもかかわらず、認可を受けずに営業している白タクがなくならない。白タクとは、一般乗用旅客自動車運送事業として届け出がある緑色のナンバープレートをつけたタクシーに対し、普通の乗用車と同じ白いナンバープレートで営業していることから呼ばれる通称だ。白タクという闇営業の実態について、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
 警視庁交通捜査課は10月7日までに、主に訪日外国人観光客向けに「白タク」行為を行なったとして、都内在住の中国人の男らを逮捕した。中国のアプリを利用し、過去最大規模の違法営業行為を行なっていたと伝えられている。大規模犯罪だと報道されても、普通に生活をしている日本人にとっては、「白タク」と言われてもピンと来ない。しかし、実は身近なところで白タクは存在している。

 タクシー事業を行うには、道路運送法に基づき役所への届出、許可が必要である。法人タクシーの運転手であれば、その許可は会社が受けていなければならないし、個人タクシードライバーは、法人タクシー会社で長い間無事故無違反という実績を積まなければ独立は許されない。決して、運転免許証さえあれば「誰でもなれる」仕事、というわけではない。にもかかわらず、つい一年ほど前まで、東京・銀座で白タクのドライバーをしていたという男性に話を聞いた。

「儲かるかどうかって? そりゃ儲かるからやるんですよ」

 東京都内在住の自営業・吉田翔太さん(38才・仮名)が白タクを始めたのは、地元の先輩からの紹介がきっかけだった。部下二人だけの、小さな水道工事業者の代表を務めていた吉田さんだったが、副業で収入を増やしたいと考えていた。そこに、夜でもできる「送迎の仕事」で、一晩1万5千から2万円の報酬は”取っ払い”と言われ飛びついたのである。

「仕事がなく、給与の支払いも苦しかった。送迎と言われて最初、水商売の女の子の送迎かと思ったんですけど、白タクでした」

 毎週火曜から金曜まで、東京・銀座まで自家用車で出向くと、路上駐車できそうな場所に車を駐め”ボス”からの指示を待つ。ラインや、ショートメールによって行われる指示にしたがって、場所を移動し客を迎えにいく。

「ほとんどの場合は得意先の店のママ、マスターからボスに電話が行き、ボスから僕らに指示が来る。客のほとんどは店のお得意さんです。タクシーみたいに”流し”の客を捕まえることもないわけではないけど、危なっかしいでしょ。警察が一般人のふりをして乗ってくる場合もあるし」

関連キーワード

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン