「明仁天皇は、安倍内閣をはじめとする政界が『大国・日本』の旗の下に右に向かって走っている時、低い水準ではあるが周辺国に配慮する役割を果たしてきた。国内的には、障害者体育の後援、被災地慰問などを通じて、疎外され、力のない人々を励ましてきた」(『朝鮮日報』4月30日付)
「徳仁天皇は即位式で『世界平和』と『憲法遵守』を言明した。新天皇のこのような発言は、日本の安倍晋三首相が平和憲法を変えて日本を戦争できる国にすることに力を注いでいるなか、特に目を引く。徳仁天皇は過去にも何度も平和憲法を守り、戦争の惨禍を記憶しなければならないという立場を明らかにしたが、世界の代表が集まった席で再び『平和』と『憲法』を取り上げた意味は大きい」(『ハンギョレ新聞』10月22日付)
在日韓国人ジャーナリストの河鐘基氏は、韓国での皇室報道についてこう分析する。
「上皇については、平和のために貢献した人、韓国との関係改善にも尽力した人といったポジティブな言及が少なくない。安倍政権との関係をめぐり、相反する立場にいると認識されているようです。新天皇も安倍政権と相反する立場にいる人という見解が多かった」
世界中で評価された即位の礼だが、一方で各国のメディアは皇族の減少など皇室が抱える課題にも言及している。また、女性天皇が認められていないことや、即位の礼や大嘗祭という宗教儀式に国が関与するのは政教分離に反するのではないかという指摘も一部にはあった。
それほど海外では、「世界最古の王朝」と言われる皇室の将来に高い関心がもたれている。
※週刊ポスト2019年11月8・15日号