国内

かつてはゴルフ場も 都心にある秘境「吹上御所」の謎

「都心のビオトープ」とも称される吹上御所(写真/時事通信社)

 徳川将軍家の居城として、江戸文化の中心地として、戦後日本を見守る象徴として、400年以上にわたって日本の歴史の中心だった奇跡の場所・皇居。令和のスタートに再び注目を浴びる皇居の謎に迫る。

◆吹上御所という「禁苑」

 皇居西側に位置する吹上御苑はしばしば「都心のビオトープ」とも称される。生物学者でもあった昭和天皇の意向を引き継ぎ、できる限り自然のまま管理。立ち入ることができないこともあり、まさに「秘境」と呼ぶにふさわしい皇居の一角である。

 絶滅危惧種を含む約5000種の動植物が確認され、近年は一般の人を対象にした自然観察会も開催。カワセミやコゲラなどの鳥類や、トンボやクワガタ、ホタルも生息するという。

『昭和天皇実録』によると、昭和天皇の思召しで、多摩動物公園昆虫園のゲンジボタルやヘイケボタルが皇居内に放流されたという。ホタルが棲める水質を保つため、吹上御苑の大滝の水は、地下水を消毒せずに使っているとも伝わる。『最後の秘境 皇居の歩き方』の著者で、歴史探訪家の竹内正浩さんが解説する。

「そんな吹上御苑には、かつて昭和天皇が愛用したゴルフ場がありました。昭和天皇は、若い頃から将来の大元師陛下(日本軍総司令官)として、陸軍からは馬術、海軍からは水泳が求められました。ゴルフも社交に必要だとの理由で習得。大正時代には新宿御苑に皇室専用ゴルフコース、赤坂離宮に6ホールのコースが作られました」

 昭和天皇のゴルフ熱は冷めず、昭和3年(1928)にお住まいの吹上御苑に完成した4ホールのゴルフ場を3年後、9ホールに拡張する。この広大なゴルフ場で昭和天皇は侍従や側近らと汗を流したようだ。

 ところが日中戦争が始まった昭和12年(1937)を最後に、吹上御苑でのゴルフは中止。現在は都心の森として自然だけが当時のまま残されている。

※女性セブン2019年11月7・14日号

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン