西日本新聞の報道を皮切りに、捜査情報漏洩疑惑への追及が続いたが、愛知県警は「(疑惑の警官は)金塊事件の捜査には携わっておらず、情報を得る立場にはなかった」と漏洩を否定。捜査情報漏洩事件は、末端捜査員であったN巡査部長が別の事件の捜査情報を漏らしたとして地方公務員法(守秘義務)違反容疑で書類送検され(不起訴)、かつ停職6か月の懲戒処分をするという形で幕引きされた。N巡査部長は今年1月に記者会見を開き、懲戒処分の取り消しを求めて愛知県人事委員会に審査請求を申し立てたことを明らかにした。野口被告はこうも語っている。
「私はNから情報を取るように周囲に頼んだこともなければ、Nのこともまったく知りません」
金塊強奪犯として逮捕され、福岡拘置所にいる野口被告は、獄中から金塊強奪事件の経緯についての手記『半グレと金塊』(宝島社)を発表した。
野口被告の証言を受け、愛知県警に対して「H刑事は逮捕された野口被告らと接点を持ったことがあるのか」、「H氏は野口氏らに対して『福岡県警の捜査員が来ている』『通信傍受に気をつけろ』などと話したのか」などと質したが、「捜査に関する個別の内容につきましては、コメントを差し控えさせていただきます」(愛知県警察本部総務部広報課長)との回答だった。
果たして警察の動きは正しいものだったのか。事件の検証だけではなく、捜査の検証もまた必要ではないか──。
◆取材・文/officeヒツリョク