国内

英語試験延期 今さら難関大挑戦に舵を切れない受験生が多い

大学入学共通テストのプレテストに挑む受験生(時事通信フォト)

大学入学共通テストのプレテストに挑む受験生(時事通信フォト)

 文部科学相の「身の丈」発言炎上をきっかけに、英語の民間試験導入が延期となった大学入試共通テスト。さらに、予定されている国語と数学の記述式問題についても見送りを求める声が出るなど、大学入試改革は出足から崩壊寸前。「そもそもセンター試験のままで良かったのでは?」と疑問を呈するのは、大学受験に詳しい大学通信・常務取締役の安田賢治氏だ。

 * * *
 まさに急転直下の延期だ。2020年度から行われる大学入試改革で、目玉だった外部英語試験利用が延期になった。これまでも大学や全国高等学校長協会から、制度の見直しや延期を望む声は多かった。それを無視して実施に突き進んできたが、萩生田光一文部科学相がテレビ番組で「自分の身の丈にあわせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえば」と発言したことが大きな批判を浴び、それがきっかけであっさり延期となった。

 今回の大学入試改革は、31年間にわたり実施されてきた大学入試センター試験(以下センター試験)を廃止し、2021年から新しく大学入学共通テスト(以下、共通テスト)を実施するのがメーンになっている。

 文科省は学力の3要素に「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的に多様な人々と協働して学ぶ」を据え、それに基づく試験に変わる。入試の名称も変わり、一般入試は「一般選抜」、推薦入試は「学校推薦型選抜」、AO入試は「総合型選抜」になる。いずれの試験も学力と高校時代の活動歴を評価する多面的評価に変えていく。

 この考えの下、数学と国語に記述式問題を導入。高校時代の活動を記録する「ジャパン・イーポートフォリオ」のサイトをオープンし、ここに高校生自ら高校時代の活動歴を記録する。高校生が出願した大学が、このサイトの情報を見て評価する方式だ。

 なかでも英語は4技能「読む、聞く、書く、話す」重視となる。センター試験では「読む」試験が従来から行われており、「聞く」試験については2006年から実施されるようになった。ところが、「書く」「話す」については、当初から外部英語試験の成績を活用することになった。センター試験、共通テストを実施する大学入試センターは作問しないことになったのだ。

 7つの外部英語試験を共通テストに使うことが認められ、1試験はその後、参加を辞退した。高校3年生の4月から12月までの間に、2回受けた成績が共通テストの成績になる。外部英語試験を何度受けてもよいが、事前に今回の受検は共通テストの成績にすると表明し、2回の内の高得点の成績を共通テストの成績とすることとなった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まったか
《進次郎劇場で支持率反転》自民党内に高まる「衆参ダブル選挙をやれば勝てる」の声 自民党の参院選情勢調査では与党で61議席、過半数を12議席上回る予測
週刊ポスト
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト