ライフ

健康診断の血圧測定と血液検査、本当に信用できるのか

血液検査なんていらない?(写真/AFLO)

 健康診断の際に最も受ける機会が多い検査といえば、血圧測定だろう。高血圧を指摘され、塩分を控えて毎朝自宅で血圧を測っているという人も少なくないはずだが、とくに高齢者の場合、血圧が高いからといって、すぐに危険だとは言い切れない。東海大学医学部名誉教授の大櫛陽一氏が解説する。

「高齢者は、そもそもある程度血圧が高いのが普通。糖化という細胞の老化現象によって血管が硬くなるからです。硬いゴムホースで放水する際には水道の蛇口を大きくひねる必要があるように、硬い血管で全身に血液を巡らすためには、勢いよく圧をかけて血液を送り出さねばならない。だから、高齢者の血圧が高いのは正常なのです」

 だが、医療現場では血圧の数値を下げることばかり気にされているのが現実だ。高血圧が続いて動脈硬化が進むと、脳梗塞や心筋梗塞といった命にかかわる重篤な病気を引き起こす、と考えられているからだ。

 ただ、降圧剤で血圧を下げたとしても別の病気のリスクが高まると話すのは秋津医院(総合内科)院長の秋津壽男医師。

「血圧を下げすぎると血流が悪くなり、血栓を流し去る勢いがなくなって脳梗塞になるリスクが出てきます」

 つまり、血圧を薬で下げたことで、かえって重大疾患のリスクが生じることがあるというのだ。直接的に重大疾患を発症しているかを知るために必要なのは別の検査になる。

「循環器系の病気がある人や、親族に病歴があるなどの場合、血圧測定だけではなく、『冠動脈MRA検査』を活用することをおすすめします。これはMRIで心臓の冠動脈を調べる検査です。

 機器の進歩で、CTに並ぶほど鮮明に写し出せる一方、CTのように造影剤を使うことがないため放射線被ばくを受けることもない。20分ほど装置の中で安静にするだけの苦痛のない検査で、数日後には心臓の血管の狭窄などの状況が結果として通知されます」(秋津医師)

関連キーワード

関連記事

トピックス

公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を演じる稲垣吾郎
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演、稲垣吾郎インタビュー「これまでの舞台とは景色が違いました」 
女性セブン
麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
人気格闘技イベント「Breaking Down」に出場した格闘家のキム・ジェフン容疑者(35)が関税法違反などの疑いで逮捕、送検されていた(本人SNSより)
《3.5キロの“金メダル”密輸》全身タトゥーの巨漢…“元ヤクザ格闘家”キムジェフン容疑者の意外な素顔、犯行2か月前には〈娘のために一生懸命生きないと〉投稿も
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン