バナナは成長が早い。1日に10cmも成長するという。
バナナの実はいずれも地面から3~4mのところにできる。そのため脚立を使っての作業となり、足場が悪い上にハウスのなかで高い場所には熱がこもって暑さは大変だ。1つの実にはバナナが100本もなり、重さは10kgにもなる。そのため、収穫ともなれば2人がかりの作業となる。
作業効率を高めるために、茎(幹)を途中で切って背丈を低くする“切り戻し”と呼ばれる方法もあるが、実のなり具合が悪くなる恐れがあるという。最も適した栽培方法はどれなのか。試行錯誤の連続だと片岡さんはいう。
収穫されて充分に黄色くなった主力品種のアップルバナナを食べさせてもらった。その名のとおり、りんごのような酸味と甘みがあり、もちっとした果肉が特徴的。形もスーパーなどでよく見かけるキャベンディッシュという品種のようにすっきりとした細身のものではなく、長さ10cmほどと小さく、ぼてっと丸みを帯びている。
輸入物との差別化を図るため、完全農薬不使用による有機質肥料使用栽培だ。皮が薄く、皮ごと食べても安心だ。
「難しいのは、収穫のタイミングです。実が充分に熟成されるのを待ってから収穫すると、甘みが増しておいしくなるのですが、そうするとバナナの皮が割れやすくなってしまい、見映えがよくなくなります。また、冬のあいだに収穫せずに春になってから収穫すると、実がゆっくり熟成されておいしくなるのですが、バナナの需要が高まるのは秋から冬にかけて。そうしたことを考慮しながら、ベストのタイミングを計っています」