ライフ

蔓延するインフルエンサーのステマ その相場と見分け方

市役所の看板は世界標準だが……(時事通信フォト)

市役所の看板は世界標準だが……(時事通信フォト)

 京都市が、吉本興業に所属する芸人ミキの二人に1回につき50万円支払う契約を結んでいたことが明るみに出た「ステマ」問題。口コミを装ったステルスマーケティング、通称「ステマ」ではと批判が集まる一方で、何が悪いのかという声も上がっている。SNSにおけるステマ事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、広告の送り手も受け手も、誰も幸せになれないステマの実例、見分け方までを解説する。

 * * *
「ステマ」として批判を浴びたミキのツイート内には、「#京都市盛り上げ隊」「#京都市ふるさと納税」などのハッシュタグがついていた。文面を見ると分かるが、ミキが京都出身がゆえに地元の情報を私的に発信しているように受け取れるような発信の仕方だ。

 この事案では他にも、木村祐一さん、ナダルさん、タナからイケダなどに同様にツイートを依頼したという。なお、50万円という料金は、一般的にインフルエンサーのツイート価格はフォロワー1人あたり5円程度のことが多いため、20万人超のフォロワーを持つミキのアカウントなら、特別高いというわけではない。

 京都市の説明では、ステマは「主旨が何かを誤認させるもの」というものだととらえており、京都国際映画祭など京都市そのものを盛り上げる目的から逸れていないので該当しないという。だが、発信者が個人の意志で発信したのか、それとも金銭の授与があったのかによって、受け手のとらえ方は異なるはずだ。

 本来、広告は受け手がどうとらえるのかに対して慎重になるべきだろう。質の悪い広告を防ぐために業界団体も黙ってはいない。広告代理店などで構成する「WOMマーケティング協議会」が作成した広告ガイドライン「WOMJガイドライン」では、金銭や利益供与がある場合は「プロモーション」「PR」「AD」などと明示することが求められている。ところが、問題のツイートにこのような表記はないため、ガイドラインに照らし合わせれば、京都市が依頼した事例はステマに当たると言えるだろう。

 前述のガイドラインだけでなく、景品表示法上でも、2012年に改正された「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する 景品表示法上の問題点及び留意事項」で、表示された内容が優良誤認 又は有利誤認にあたる場合についてステマは問題となる事例として追加されている。法律の面からも、やはり京都市の事例は広告であることをもっと明らかに明示すべきだった。

 今回の事例はTwitterだったが、ステマはTwitterだけの話ではない。実はInstagram、YouTubeなど多くのSNSやブログで広く行われている。

◆「信じて相談していたのに悔しい」

 これまでにも様々なSNSでステマが行われ、多数の問題が起きている。

 2017年、ある30代女性はダイエット中のアラサーだとプロフィルにあるAさんのアカウントをフォローした。そのアカウント主は、青汁ダイエットで10キロも痩せたという。

「写真がインスタ映えしていないところがむしろ信頼できたし、親切に質問に答えてくれたので信じていた」(フォローした30代女性)

関連記事

トピックス

なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン