大谷氏のような、事件記者だけでなく、警察官や政治家など、緊張感の続く職業は愛犬家が多いと言われる。
ロシアのプーチン大統領は大の犬好きで、秋田県知事から贈られた秋田犬と、カラカハンドッグを飼っている。過去には吉田茂元首相も大の犬好きで知られ、サンフランシスコ平和条約の署名に訪れたアメリカで、つがいのヨークシャテリアを購入し、「サン」「フラン」と名付けたとの逸話がある。
また、ヒトラーもドイツ国産のジャーマン・シェパード・ドッグを可愛がっていたことで有名だ。殺伐とした世界を生き抜くには、犬の忠実さと癒しを求めたくなるのかもしれない。
◆猫の経済効果(ネコノミクス)が国を救う
「セラピー効果」について猫派も譲るはずがない。東京大学大学院教授で、無類の猫好きの社会学者・赤川学氏が語る。
「愛猫の存在に、どれだけ救われてきたか。初めて飼った猫が、夜、布団の中に入ってきてくれた日のことはいまでも忘れられない。その当時、妻の帰りが遅く、私はいつも家に一人。そんな時、ずっと愛猫に話しかけていました。ある意味で『愛人』だったんです。彼女がいなければ、私は孤独に耐えられなかったかもしれない。猫ほど心の癒やしになる動物はいないと思います」
古くは清少納言、夏目漱石からタモリ、宇多田ヒカルに至るまで猫好きの有名人には感性豊かな人が多い。赤川氏はさらに、猫が寄与するのは人の健康だけではないと主張する。
「国の経済まで救っています。猫は飼い主の負担が軽く、単身者でも共働きでも、体力的に犬の散歩が負担になる高齢者でも飼いやすい。そうして近年、猫の飼育数が増加していった結果起きたのが、『ネコノミクス』です」