10月最後の土曜日に行われる文化祭『さくらフェスティバル』。エンディングでは、教員がツッパリに扮して嶋大輔の『男の勲章』を熱唱。生徒はダンスで加勢し、体育館中が熱狂に包まれた(撮影/浅野剛)
「23年前、生徒の発案で文化祭を行う案が持ち上がりましたが、そうでなくても多忙な当時の教員は乗り気ではなかった。だったら子どもたちの夢を自分たちで叶えてやろうと、保護者主導で開かれるようになったのが始まりです」(西郷さん・以下同)
教室や校庭、体育館の1階が会場となる模擬店は、各部活が工夫を凝らして有料で飲食やゲームを提供。売り上げは部活の運営費に充てられる。このほか近隣の店、町会、NPO団体、地元警察署なども参加し、大学の学園祭並みに盛り上がりを見せる。
体育館3階のステージでは、在校生や卒業生、教員も参加自由のバンド演奏やダンス、全国的にも評価の高い演劇部による演目が上演される。
「学校主体では、ここまで自由にできなかった気がします。スタートは後ろ向きなものでしたが、保護者が積極的にかかわってくれたことが、かえって自由度を高めたと思います」
今年まで3年にわたって、このイベントの責任者を務めた母親は言う。
「ステージでは、中学に入ってから楽器を始めたまったくの初心者がバンドを組んで出演するので、緊張で演奏がつまってしまうこともあります。でもそんな時は、客席から手拍子が起こることがあるんです。声援も飛んだりします。普通なら、反抗したり斜に構えたりしたい年頃なのに、誰かをけなすような雰囲気にはならず、応援してくれる。うちの子たちって、本当に優しいんです」