溝口:一方で、生活保護を受けている高齢ヤクザは多いですね。
鈴木:実は暴排条例以降、組員と判明した場合は生活保護は受けられないことになっているんです。「違法・不当な収入を得ている可能性が高いから」らしい。
溝口:しかし、実態としては受けているヤクザは多い。
鈴木:そうですよね。しかも、懲役に行って刑務所出るときに「暴力団辞めました」って一筆書くと、生活保護はすぐもらえるんです。暴力団担当刑事は、出所したヤクザに足抜けさせて生活保護を受けさせると、警察官としての得点(評価)になる。だから、辞めたヤクザが一番楽に生活保護をもらえるわけです。
溝口:どうせまた暴力団に戻るのも多いのに。
【プロフィール】
◆すずき・ともひこ/1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『潜入ルポ ヤクザの修羅場』『ヤクザと原発』『サカナとヤクザ』など。
◆みぞぐち・あつし/1942年、東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。ノンフィクション作家。『食肉の帝王』で2004年に講談社ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『暴力団』『山口組三国志 織田絆誠という男』『さらば! サラリーマン』など。
※週刊ポスト2019年11月29日号