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3才まで母親は育児に専念の「3才児神話」に92才保育士が異論

92才だから伝えられることがある(撮影/楠聖子)

 栃木県足利市に“奇跡の保育園”と呼ばれる認可保育所がある。その名も「小俣幼児生活団」。園児は、自ら考え決断できる、自立した子供に育つと評判で、入園希望者が絶えない。

 3000坪以上ある敷地内には、池や丘、梅林が広がり、保育士が見守る中、ある子は裏山を走り回り、またある子は園舎で折り紙に没頭するなど、皆が思い思いに過ごしている。カリキュラムごとに園児を管理する一般的な保育園とは違う光景が、ここにはある。

「当園の方針は、『ほったらかし保育』。何時に来てもいいし何時に帰ってもいいの。来たら好きなことをして遊ばせて、お昼寝もしたくないならしなくていい。給食もお腹が空いた時に食べればいいの」

 微笑みながらこう話すのは、92才ながら同園で主任保育士として働く大川繁子さんだ(「」内、以下同)。

 そんな大川さんに、子育てに悩むママたちが悩みを相談した。

◆1才からの保育園、むしろおすすめよ

 管理栄養士として働く小林美雪さん(28才)は、仕事の都合で、一人娘を1才の時から認可保育所に預けていた。ところが周囲から、

「そんな小さいうちから預けるなんて、子供がかわいそう」

 と白い目で見られたという。3才までは母親が育児に専念しないと子供の成長に悪影響を及ぼすという、いわゆる「3才児神話」は、今でも根強く、小林さんのような働く母親を悩ませている。これに対し、大川さんは真っ向から否定した。

「子供は子供の中で育つの。だから、むしろ小さいうちからほかの子供たちがいる環境においた方がいいのよ。子供の世界は容赦がない。叩く子もいるし、意地悪する子もいて、さまざまな出来事があります。でも、そういう経験から社会性が身につくの。ただ、もしお母さんが、園の方針や保育士さんの態度に賛同できなかったら、そこは妥協せず、お子さんに合う園を探し直した方がいいと思います」(大川さん・以下同)

 育児は量より質。子供と接する時間が短くても、その短い間に愛情をたっぷり注げば、さびしい思いはしないという。

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