そのロッキーの実力やキャラクターを確かめるべく、北関東を中心にドライブしてみた。試乗車は価格を10%消費税込み184万円に抑えた普及グレード「X」のFWD(前輪駆動)。試乗ルートは東京を起点とし、群馬の渡良瀬渓谷から栃木の日光に抜け、その後、茨城の筑波山などを周遊しながら東京に帰着するというもので、総走行距離は450.8km。
果たしてロッキーは、ファッションとしてSUVルックの小型車に乗りたいという顧客にとっては、おそらく期待以上の出来であるように思われた。
まず、全長約4mという短いボディであるにもかかわらず、人間の居住空間と荷室が両方とも広い。ドライバーが適切なポジションを取った状態でも、後席の膝もと空間は余裕たっぷり。その後方の荷室容量は369リットルと、長期旅行用の大型トランクも2個は余裕で乗せられるくらいのスペースであった。
市街地や高速道路などでは快適性もかなり高く、全般的に滑らかな乗り味であった。軽自動車と設計を共有していることや車体の軽量化の影響か、ざらついた路面やうねりの大きな路面を通過するときはボディの共振、変位が発生するが、サスペンションの振動吸収性能自体は優れていて、それをあまり不快に感じさせない。また、静粛性もベーシックカーとしては優秀だ。
取り回し性が優れているのも美点。最小回転半径4.9mという数値はそれほどインパクトがあるものではないが、ボンネット先端まできっちり見切れるデザインゆえ、その性能を簡単に使い切ることができる。市街地の狭い道などでは、この運転のしやすさは重宝するであろう。
998ccターボエンジンは最高出力98psと、それほど高出力というわけではない。が、試乗車は車両重量が1トンを切る軽量級だったこともあって、加速は大変に活発。CVT(無段変速機)の変速プログラムがかなり加速重視で、スロットルを少し深く踏み込むとどんどん車速が上がっていく。
山岳路の急勾配などではそれほどパワフルさは感じないが、それでもステアリングに設けられたパワースイッチを押すと、CVTの変速比がどーんとローギア側に振れ、ぐいぐい走れる。満タン法によるロングランの実測燃費はジャスト19km/リットルであった。
車内には9インチディスプレイが装備されていた。スマホナビを表示させたり「ダイハツコネクト」というコネクトサービスを利用したりといった機能が使えるのだが、これは非常に便利だった。ヤフーナビやLINEナビなど複数のアプリを使い分けられ、音楽再生のコントロールもスマホではなく画面から行うことができる。
難点はスマホ連携の接続安定性がいまひとつなことだが、スタート時に接続がうまくいかなかったときはコネクトをいったん終了して再接続すればいい。二度うまくいかないということはなかった。450kmのドライブの中ではコネクトサービスの機能をとても全部試すことはできなかったが、ショッピングモールの広大な駐車場で自分のクルマがどこにあるかわからなくなったときも位置を教えてくれるといったサービスもあるとのこと。