平古は、他とはひと味違うキャラクター。演じている玉森さんの冷静さ、内面に秘めた強さ、静かに観察するような知的距離感、安易に依存しない緊張感といったものが存分に役作りに反映され、この物語にピタリとはまっています。そう、鋭く薫る香料のように、ぴりっとスパイシーな刺激となっています。

 しかも尾花のもとに集結しなかっただけでなく、ライバルの丹後(尾上菊之助)のレストラン「gaku」のスーシェフになる、という驚きの展開。そもそも平古は師匠・尾花の能力に心酔し憧れていたはず。いったいなぜ、敢えてライバル店のシェフに就いたのか。

 あわせて尾花のパリの店の失態の原因がこの平古にあったことも明かされました。ナッツオイルを使う致命的なミスを招いた張本人が平古だったとは。しかし、それは悪意や意図したものではなく、まさしくミスだったというエピソード。さて、今後このエピソードはどんな伏線として生きてくるのか。尾花のライバルになった意味あいを、どう捉えたらいいのか。平古という人物が物語に謎と緊張感を与え陰翳を落としていて、惹き付けられてしまいます。

 ご存じKis-My-Ft2の玉森さんの所属はジャニーズ事務所。後輩としては木村さんの存在があまりにも巨大でビッグネーム過ぎて、一緒に演じるとなると普通なら萎縮しまうはず。玉森さんも重圧に包まれていることでしょう。しかしそれでも、尾花にどこか負けていない平古がいる。別の個性として、しっかりと役が立ち上がっている。尾花の大物語に溶け込んでしまうのではなく、ピリっとしたひと味を効かせている。その意味で役者・玉森さんに可能性を感じます。今後化ける逸材かもしれません。とにもかくにも平古の動向と今後の展開から目が離せません。

 

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