近畿日本鉄道21000系特急・アーバンライナーplus(左、時事通信フォト)
また、近鉄には2025大阪万博の会場地になる夢洲へ乗り入れる計画もある。近鉄特急が夢洲への乗り入れを実現するには、異なる集電方式という技術的な課題をクリアしなければならない。
通常の電車は、上空に設置される架線から電気が供給されている。しかし、近鉄のけいはんな線とOsaka Metro中央線はサードレール方式と呼ばれる、通常とは異なる集電方式を採用している。夢洲にはJRや京阪も路線の延伸を計画しており、仮にJRや京阪の線路に近鉄が乗り入れる場合は集電方式という技術的な課題に直面する。夢洲へと走る新しい特急車両が誕生するかどうかは、こうした技術的な問題をクリアできるかに賭かっている。
近鉄が「ひのとり」を軽々に“エース特急”と口にしないのは、そうした難題をクリアし、新たな特急車両を視野に入れているからにほかならない。技術的な課題をクリアするには時間がかかるかもしれない。それでも、「新しい特急が走る日は近いのではないか?」との期待が高まる。
近鉄の、特急への飽くなき挑戦は続く。
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