●「料理とは食材のいいところを伸ばし、悪いところを隠してあげる作業なのです」 『割烹智映』 北山智映(39)
『割烹智映』の北山智映さん
「割烹智映」では、刺身に醤油やわさびが添えられずに出てくることも珍しくない。
「料理とは、食材のいいところを伸ばし、悪いところを隠してあげる作業なのです。さらにいえば、ひと口で食べられるように調理するのが日本料理の“おもてなしの心”であり、そこまで考えて取り組むべきだと思います。たとえば、選んだ魚にわさび醤油がベストだと思うなら、わさびと醤油を溶いてあえるといったように、完全に計算されていないと魚の味は引き出すことはできません」
日本料理の基本を徹底的に学んだ北山智映さんは、魚本来の美味しさをどうしたら生かすことができるかを考え抜き、既成概念にとらわれない調理方法を編み出して、食材に合った独創的な料理を供している。
「料理は舌の味蕾(みらい)だけで感じるものではありません。たとえば、うら寒い晩秋には、炭で炙ったウルメイワシに熱燗などが美味しいように、食というのはコミュニケーションツールだと思います。料理の先に伝えたいことがある。それは季節の移ろいや日本の豊かさ、情緒だったりするのです」
ボタンエビに桃のピューレ。塩レモンメレンゲをまとったボタンエビ。香箱ガニの内子パウダーをつけて口へ運ぶと、豊かな風味と旨味が広がる。
・住所:東京都中央区銀座7-7-19 ニューセンタービルB1F
・休:無休(完全予約制)
※料理は1万7600円のコースのみで、先付、前菜、お椀、お造り、珍肴、焼き物、煮物、寿司(5貫、1巻)の8品。締めの寿司も、銀座の一流寿司屋と比べて引けを取らない。