指導者歴35年を超える濱田コーチ(右)は、宮原選手ら有力選手を育てた(共同通信社)
「濱田先生が織田さんに激高したのは見たことがありません。確かに、織田さんが練習方法について“危ないからやめるように”と言ってきたことはありました。しかし、その朝の練習中に濱田先生はおらず、コーチとしてリンクにいたのは私だけでした。しかも、むしろ危険だったのは、自分のアイスショーの曲をかけて練習をしていた織田さんでした。すごいスピードで滑っていましたからね」
「関西大学たかつきアイスアリーナ」には、3組の指導体制がある。1つは織田と織田の母・憲子さん(72才)をコーチとする「織田組」、本田武史コーチ(38才)と長光歌子コーチ(68才)が中心の「本田・長光組」、もう1つが田村コーチもいる濱田コーチを中心とした「濱田組」だ。
「この一件があった日の夕方、午後からリンクにきた濱田先生と織田さんと憲子先生、長光先生と私の5人で今後の練習について話し合いました。織田さんは濱田先生に意見を言ったら激高されたと主張していますが、むしろ逆で、濱田先生は織田さんの練習ルール変更の意見を尊重しました。そもそも、この話し合いの場を設けたのは濱田先生です。なぜ織田さんが事実と違うことを話しているのか理解できません」(田村コーチ)
◆「あなたは親失格」と言われた人も
一体、何が真実なのか。織田を知る多くの保護者や関係者に話を聞いた。ある選手の保護者はこう打ち明ける。
「五輪にも出た選手ですから、彼の滑りを見ただけでも勉強になると、選手や保護者は織田さんの就任を心待ちにしていました。実際、フィギュアを習いたいということで新しく入ってきた子もいました。
しかし、織田さんは監督やコーチというよりあくまでプレーヤーでした。指導者という立場の自覚は残念ながらあまりなかったのではないでしょうか」
トッププロとして活躍しながら、大学の監督を担うのはかなり厳しい状況だったようだ。別の保護者が続ける。
「織田さんは濱田コーチから『モラハラ』を受けたと主張していましたが、激高がモラハラというなら彼からモラハラを受けたという保護者や生徒は多いはずです。
成績がよくない学生に“価値がない選手”と言ったり、海外から練習に来た子に“自分の国に帰れ”と怒りにまかせて言うことを聞いたこともあります。
ある保護者は“今時の子は挨拶もできない”と長時間にわたって説教を受けたうえで“親として失格”とまで言われ泣いていました。厳しい指導もスポーツにおいては必要だというのは理解していますが、織田さんがああいう形で主張するのは天ツバといいますが、あまりにも違和感がありました」
保護者だけではない。関大関係者も織田の発言をこう非難する。