集会というよりデモと言ったほうがいいかもしれないが、現地は当日カンカン照りの猛暑だったにもかかわらず、数えきれないほどの老若男女(主催者側発表では約2万人)が集まり気勢を上げていた。中高年以上には懐かしい(?)、あの学生運動の「シュプレヒコール」を聞いたような気がした。若い人には説明が必要だが、マイクを使いながら張り裂けんばかりの大声でスローガンを叫んで繰り返すことだ。
その場にいると耳が痛くなる。だが不思議なもので、参加者はそれを唱えているうちに独特の「法悦」状態になって興奮し一体感が増す。ひょっとしたら、この「文化」も1960年代の日本から輸出されたものかもしれない。とにかく現場は大変な熱気であった。繰り返し叫ばれているのは「日本は謝罪しろ」「謝罪しろ」「謝罪しろ」ということだ。つまり日本政府は慰安婦問題で未だに謝罪していないというのが、少なくとも集まった民衆(2万人は現場の広さから見て不可能な数字だと思うが、数千人は確実にいた)の共通の認識なのである。
目立ったのは若い学生、いや生徒と言ったほうがいい感じの中高生である。日本ではあまり見られない光景だ。じつは夏休み中の生徒たちがこうした場に「課外実習」として参加すると評価が上がり、優等生として認められるという。日本以上の、おそらくは世界最高の受験地獄である韓国では、だからこそこうした場に若い人が多数訪れるのだろう。そして若いころから「日本は悪」という認識が刷り込まれることになる。
もう一つ気がついたのは、糾弾の対象が日本政府では無く安倍政権になっていたことだ。日の丸を地に「NO ABE」と書き込まれたTシャツやプラカードがあちこちに見られた。つまり韓国は、そうした戦術に変更したということである。これはどんな意味を持つのか? これについてはのちほど分析しよう。