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相続トラブルを避けるために必要な「遺言書」 正しい作り方

遺言、財産目録の用意の仕方とは(イラスト/榊原唯幸)

 家族がなくなった際、相続でトラブルにならないためにも必要なのが遺言書だ。遺言書は大きく2通りある。「公証人」に依頼して公証役場で作る「公正証書遺言」と、すべて自分で手書きする「自筆証書遺言」だ。相続実務士の曽根恵子さんが話す。

「自筆証書遺言は無料で手軽そうに見えますが、1つでも間違いがあると無効になってしまいます。遺産額に応じて作成手数料が5000円(遺産額100万円以下)~4万3000円(同5000万円超1億円以下)と費用はかかりますが、公正証書遺言の方が間違いなく安心で、手間も省けます」(曽根さん・以下同)

 公正証書遺言の作成には、遺言者の印鑑証明書、遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本、相続人以外(受贈者)に遺贈する場合はその人の住民票、不動産なら登記事項証明書と固定資産評価証明書、財産目録が必要になる。各書類をそろえて2人以上の証人を決め、公証役場で作成し、遺言者と証人、公証人が署名と捺印をして完成。

「自筆証書遺言と違って、原本は公証役場で保管されるので紛失の心配がなく、死後に家庭裁判所が“遺言書が確かにあったこと”を確認する『検認』が不要になるなど、メリットは大きいといえます」

 遺言書作成にあたって必要な「財産目録」は、2019年7月の相続法改正によって、それまでの手書きからパソコンで作成できるようになった。

「遺言者の自筆署名と捺印は必要ですが、代理人による作成も可能で、不動産の地番など、細かいところの間違いや、手書きの読みにくさによるトラブルも減るでしょう。原本ではなく、預金通帳や保険証券のコピー、不動産登記簿、固定資産税の評価証明書などを添付してもよくなったので、以前よりもかなり手軽です」

 遺言書と財産目録作成にあたっては、「誰に」「何を」「どのくらい」相続させるのかを明確にしておく。

「土地なら地番や面積、預貯金なら銀行名、支店名、口座番号など、きちんと特定できるように書くことがポイントです。日付が1か所間違っているだけでも無効になるので、細かいところまで念入りにチェックしてください」

※女性セブン2020年1月2・9日号

公正証書遺言を利用する手も(イラスト/榊原唯幸)

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