実際、2017年5月に公開された映画『家族はつらいよ2』の完成披露試写会で、山田監督は「クランクアップまで、ぼくは本当に持つんだろうか。途中でダメになっちゃうんじゃないか」と、撮影中に体調の不安を抱いていたことを打ち明けていた。
「ここ数年、いくつかの病院に通っていらっしゃるようなんです。ご高齢なので通院されていることは自然なことだと思うのですが、病名はもちろん、闘病生活すら一切明かさないから、“重病だったらどうしよう”と、心配する声が増えています。私たちが聞いても“元気だよ”としか言わない。本当の病状を知っているのは、親族を含む監督が信頼しているごく一部の関係者のみです」(前出・撮影スタッフ)
スタッフたちは、山田監督のその“スタイル”に、ある大物俳優の影を見ているという。
かつて山田監督は「長い映画人生でめぐりあった2人の偉大な俳優」として、自身の監督作品『幸福の黄色いハンカチ』(1977年)と『遙かなる山の呼び声』(1980年)に主演した高倉健さん(享年83)と、渥美さんの名前を挙げている。
「渥美さんも健さんも、病気のことは一切公にせずに、最期まで仕事をまっとうしてひっそりと亡くなりました。山田監督も自分の病名について触れることはありません。撮影現場に私情を持ち込まない人なんです」(山田監督を知る関係者)
自宅から出てきた山田監督に、体調について聞いてみると、笑顔を作ってこう答えた。
「確かに病院には通っているけど、古いつきあいの先生がいて、検査で行っているだけですよ。でもね、ぼくももうすぐ死ぬんだから詮索しないでよ。はっはっはっは!」
つらいことは一切口にしない、男の矜持が見えた。
※女性セブン2020年1月2・9日号