ライフ

認知症になった人の選択肢、グループホームはどんな施設か

静かな住宅街の中にある『きみさんち』。料理雑誌を見て、冷蔵庫の食材を確認して今日の献立を考える。買い物へ行き、調理をしたり配膳をしたりといった、ごく普通の生活者の営みがグループホームの魅力だ

 グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の人が家庭的な環境と地域住民との交流のもと、生活支援や機能訓練などのサービスを受けながら、少人数で共同生活を営む住居。介護保険の地域密着型サービスの1つだ。認知症の親の生活の場を考える時、選択肢の1つとして覚えておきたい施設だ。

 グループホームの入居条件は、65才以上で認知症と診断された要支援2、要介護1以上の高齢者。施設と同一地域に住民票があることだ。

 また、施設基準は1ユニットあたり定員5~9人。1施設には2ユニットまで。1人に1個室、収納を除く7.43平方メートル(4.5畳)以上が基本となる。

 そして、スタッフは3年以上の認知症介護経験のある専従・常勤の管理者、介護計画の作成担当者、利用者3人に対し1人以上の介護スタッフ(夜間は常時1人以上)の配置が義務になっている。

 対応が難しい認知症に、専門施設の人たちはどう向き合っているのだろう。家族だからこそ見えづらい認知症の人の心の内を、開設から20年のNPO法人ミニケアホームきみさんち理事長・林田俊弘さん、管理者・志寒浩二さんに聞いた。

 東京都練馬区にある『きみさんち』を訪ねた。2階建て住宅の小ぢんまりしたダイニングに5人の老婦人と女性介護職員が集まっている。

 テレビを見る人、職員と歓談する人、何かこだわりがあるのか“家の住所”を繰り返しつぶやく人、食卓から離れてみんなを眺める人。初対面の私に故郷の話をしてくれる人もいれば、目も合わせない人もいるが、それぞれが好んでこの場を共有しているような穏やかな空気だ。

「グループホームの定義として“家庭的な環境”とありますが、入居者さん同士は“家族”という感じではありません。ここはそれぞれが“自分らしい生活”を再構築する場なのです」と、林田さん。

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン