変形したトマトも活用

具だくさんスープに…

 とはいえ、飲食店では傷がついた野菜はその部分を処理する作業が加わるため、調理には通常の倍の時間がかかり、敬遠されがちだ。

「そのため出荷されずに廃棄処分になるのも仕方がないのかもしれません。しかし、フードロスが問題視される今、農家が出荷をあきらめ、時に収入が途絶える事態さえある状況でも、やむなく野菜を廃棄し続ける現在の農業の姿を変えなくてはいけないのです」

 消費者の意識も大きく関係している。例えばスーパーでは、無意識に均一のクオリティーを欲しがる。店側はそのニーズに応えるべく、見た目が揃ったものを提供せざるを得ない。そのため生産者にきれいな野菜を求めるのだ。

◆フードロス対策が食育につながる

 現在、生産農家の理解も深まり、20軒近くの農家と継続的につながっている。梨、トマト、ピーマン、なす、いんげん、さつまいもなど一定量を安定確保できる野菜も増えてきたため学校給食で扱ってもらえないか交渉中だ。

「給食なら一年を通して需要があるため、農家にも安定的な収入を還元できるようになる。子供たちの『食育』においても地産地消を学ぶきっかけとなるはずです。企業の社員食堂にも提案中で、今後の販売ルートの拡大が課題です。食べ物への価値観は幼少時から養われます。野菜の味は大きさや形とは関係ないんだよと教えてあげることこそ、意識を変える大きな一歩になると考えています。

 また、それを知った子供たちから親に伝播することで、日本人全体の意識が変わっていくはずです」

◆この取り組みを全国に広げたい

 チバベジを立ち上げ、活動してから3か月。廃棄野菜の総買い取り量は1万kg、総買い取り額は250万円を超えた。

「チバベジを知った他県のかたから、千葉の野菜を送ってほしいと声がかかると素直にうれしいです。しかし、共感いただけるのであれば、まず地元の野菜を買っていただきたい。

 理想はチバベジのやり方に賛同してもらい、全国各地に同様の仕組みが浸透し、食品ロスがゼロの未来。たとえば長崎県であれば“ナガベジ”というような地元の農家を応援する仕組みが増えていってほしい。それが災害などの緊急時をも乗りきる力となっていくのです」

※女性セブン2020年2月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン