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IOCは欧州貴族の集まり、相談なしに独断で事を進める集団

右から安倍首相、トーマス・バッハIOC会長、森喜朗東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長、小池百合子東京都知事(2019年7月)

 東京での五輪開催が決定したのが2013年9月7日。以来、トラブルが頻発し、開催反対を叫ぶ人も少なくない──。

◆IOCはヨーロッパ貴族の集まり

 五輪の起源は古代ギリシャにあるといわれるが、現代の形式になったのは19世紀末である。その礎を築いたのがフランスのピエール・ド・クーベルタン男爵で、その時に国際オリンピック委員会(以下、IOC)も発足した。

 IOCは国際機関の1つと思われがちだが、「実は国際スポーツを統括するNGO(非政府組織)に過ぎません」と、神戸大学大学院現代文化論教授の小笠原博毅さんは言う。

「IOCはそもそも、ヨーロッパの貴族階級の人たちが集まって作った団体です。決定権は開催する国になく、IOCが運営の主導権を握っているのです」(小笠原さん)

 気位高く、独善的な貴族階級を核とした集団ゆえ、何かを決定する際も、関係各所と相談・折衝することなく進めてしまうのだという。

 それを象徴的に表している出来事が、マラソンと競歩の開催地変更だ(昨年11月に東京から札幌へと変更)。その決定権は日本オリンピック委員会(JOC)や東京都にはなく、IOCにあった。関西学院大学社会学部教授の阿部潔さんは、IOCという組織のあり方についてこう指摘する。

「マラソンや競歩は、気温の低い早朝であっても、真夏の7月の東京で行うのは選手にとって危険だ、と競技現場をはじめ、各所から指摘され続けてきました。それでもIOCは動こうとしませんでした。

 が、昨年9月、ドーハで行われた世界陸上で、深夜にもかかわらず高温多湿の中で走った女子選手たちが次々と倒れ、全体の40%が棄権する事態となるに至ってようやく、IOCの委員たちが開催地に疑義を唱え始めたのです。そして、東京都としっかり議論することなく強権を発動し、札幌に変更してしまいました。あのように一方的な独断で事を進めてしまうのがIOCのやり方なのです」

※女性セブン2020年2月27日号

東京五輪の会場となる新国立競技場(写真/アフロ)

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