問題はこれからである。18歳人口は確実に減り続けていく。2018年の118万人が十数年後には100万人を切ると予測されている。2割近くの減少だ。そうした中で、公立大といえども93大学がすべて生き残っていける保証はない。
とりわけ地方私大から公立大に転換した大学は、数年後には結果が問われることになる。地域貢献の具体例、卒業生の地元就職率、研究機関としての実績など目に見える形で成果を示さないと、ブランド価値は再び下がりかねないし、地域の評価も得られない。公立化がゴールではなく、その先が問題といえよう。交付金への依存度も課題だろう。
さまざまな課題があるのは事実だが、地域に密着した公立大学の存在価値は大きい。規模は小さくても若者が地方自治体にいること、新たに流入してくることで活性化の礎ができるからだ。
地方の活性化のカギは何といっても人である。地域に根差した公立大学を舞台に東京のマンモス私大にはない視点で地方の伝統文化、特産品の6次産業化、食文化、観光ツーリズム、地域医療など町おこし、活性化につながる研究や実践教育が展開されれば、新たな動きにつながるのではないか。
他県や他国からやってきた学生と地元の学生との交流からも新たな芽生えが生じる可能性もある。そうやって地方発の人材を育む中で、地域の新たな課題や活性化策を探り、具現化していく。卒業していく学生にしても、すべてが地元に就職する必要はない。卒業後、大都市や外国に飛び出したとしても、彼らが学んだ地域の素晴らしさを新たな地の人々に伝えていけば、その地域の存在感は確実に高まっていく。
地方創生に向けた理想論かもしれないが、東京一極集中を食い止め、地方を本当に活性化させるには財政的に安定した運営ができる公立大学の存在と意義は大きい。真価が問われるのはこれからだ。