2005年、ファッションショーに登場した槇原容疑者(時事通信フォト)
強い虚無感が襲ってくるようになったのは40代半ばからだね。周囲にウソをついて、迷惑をかけて、ここには書けないようなこともいろいろあって、それでも麻雀から逃れられない自分が苦しくてたまらなくなったのよ。ここから一生抜けられないんじゃないかと、深い井戸の底から小さな空を見上げているみたい。
で、どうなったかというと、思わぬところに抜け穴があったの。本誌・女性セブンの企画で禁煙セラピーに通い、それでもやめられなくて、チャンピックスという禁煙補助薬を服用したら、なぜかスパッと麻雀もやめられた。
そしたら人が変わっちゃった。雀荘を思い浮かべた次の瞬間、たばこのニオイが鼻についてダメ。麻雀に拒絶反応を起こすようになったの。
自分の身に起きたあまりの劇的変化についていけず、試すように何度か雀荘に行ってみたけど、「リーチ!」で興奮しないんだからどうしようもない。
こんな私が言えるのは、「依存症になったら、正面から闘うな」ということだね。自己嫌悪、反省、決断なんて、何千回やってもダメ。意味なし(←あくまで私の場合です)。
それより、「おっ、こっちに面白いことがあるぞ」と、興味の方向を変えた方がいい。依存症の壁が壊れて、マイブームくらいにおさまったら…まぁ、そううまくはいかないんだけどね。
何かに依存すると、あれこれ壊すことになる。体、金銭感覚、人間関係…。転がり落ちるときはあっという間だけど、落ちた先が底なし沼で、なかなか足が抜けない。そこに堕ちた人をかばうつもりは毛頭ないけど、若かりし日の自分を振り返ると、口の中が苦くなって複雑な気持ちになるんだよね。
※女性セブン2020年3月5日号