安倍内閣の支持率は4割を切った(共同通信フォト)
「ウイルスは保持していても発症していない人が大勢いて、すでに蔓延していると考えてください。今後は大都市を中心にさらなる感染拡大が進むはずです。東京、大阪、福岡など、中国とは比べものにならないほど人口密度が高い地域は危険度が高い。特に満員電車は人と接するタイミングが圧倒的に多く、人混みなどを介して、どんどん感染が拡大します。感染者が増えて、東京などの大都市がパニックになるのは時間の問題です」(前出・上さん)
全国的な「学級閉鎖」も考えられる。2009年に新型インフルエンザが流行したとき、東京都教育委員会は児童の10%以上が欠席した場合に、原則4日間の学級閉鎖を行った。
「その際、タテ割行政の弊害で、休校や学級閉鎖には厚労相ではなく、文科相の認可が必要でした。当時の厚労相だった舛添要一さんはそうした悪弊をあらため、権限を厚労相に集中させて難局を乗り切りました。新型コロナウイルスではまだ子供が重症化するケースは少ないですが、万が一に備えて迅速に学校の現場が対応できるよう準備を進めておくべきです」(厚労省関係者)
タイミングの悪いことに、いまは大学受験シーズン真っ只中。大勢の受験生が何時間も“密室”にこもる受験会場が、危険スポットにもなりかねない。
成人の場合は“自主封鎖”が求められる。
「社会人の場合、感染の疑いがあって体調が悪ければ会社に行かず、自宅にとどまることが症状の悪化と感染拡大を防ぐために最も効果的です。
ところが政府が新型肺炎を『指定感染症』に指定したため、感染がわかった時点で強制的に2週間入院することになった。日本人は真面目なので、体調が悪くても検査を受けずに仕事を続け、重症化するケースが多いと考えられます。個人も会社も『調子が悪ければ休む』ことを徹底してほしい」(前出・上さん)
この政府の対応は、医療の現場にも影を落とすかもしれない。久住さんが言う。
「新型コロナウイルスの感染が判明した患者は、全国の感染症指定医療機関で治療を受けることになります。軽症な人でも入院しなくてはならず、全国に約1800床ある感染症専用のベッドが埋まってしまい、重症患者が入院できない事態も起こり得ます」
安倍首相のパフォーマンス的な「指定感染症」宣言が、事態をさらに悪化させかねないのだ。
※女性セブン2020年3月5日号