第3のビール「サッポロゴールドスター」
──酒類事業以外の将来的な構想は?
尾賀:今後は食品・飲料事業にも大きく領域を広げたいと考えています。たとえば、ポッカサッポロフード&ビバレッジで手がけている「ソイビオ豆乳ヨーグルト」には期待しています。豆乳のヨーグルトとなると、まだそんなにライバルメーカーがたくさんあるわけではありません。
加えて、ビーガン(卵や乳製品も摂らない純粋菜食主義者)が世界的に注目されており、エシカル消費(環境や社会問題の解決に資する商品を購入すること)の台頭も含めて、植物性由来の食品を食べる文化は、これからグローバルに拡大するでしょう。そのため「ソイビオ豆乳ヨーグルト」は大きなポテンシャルがあると考えています。
このほか、従来から注力しているスープやレモンといった商材、あるいは昨年2月に我々のグループ入りした、スパイスやハーブなどを手がける香辛料メーカーのヤスマ、さらにグループで神州一味噌などもあります。
飲料分野の競争は激しいですから、食品ジャンルで独自商材を強化していく。現在、飲料が7割、食品が3割という売り上げ比率ですが、将来は食品の比率を5割まで引き上げていく計画です。
酒類、飲料・食品、それに不動産と、この3つのセグメントでグループを成長させていく計画を、しっかり描いていきたいと思っています。
【プロフィール】おが・まさき/1958年東京都生まれ。1982年慶應義塾大学法学部卒業後、サッポロビール入社。2009年執行役員、2010年取締役兼常務執行役員、2013年代表取締役社長を経て、2017年3月より現職。
●聞き手/河野圭祐(ジャーナリスト):1963年、静岡県生まれ。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。
※週刊ポスト2020年2月28日・3月6日号