「難聴を引き起こす活性酸素を減らすためには、暴飲暴食をひかえることが重要。また、紫外線を浴びると、その害から身体を守ろうとして体内で活性酸素がつくられるので、日中の外出には注意が必要です」
コーヒーなどカフェインを含む飲料の飲み過ぎにも気をつけたい。カフェインを摂り過ぎると、内耳の神経が過剰に反応して障害を起こしやすいとされるからだ。
長時間にわたり騒音にさらされる環境を避けることも重要だ。常に大きな音がしているパチンコ店やゲームセンターなどに長時間いると、大きな音や音圧によって内耳が傷つきやすくなる。ヘッドホンやイヤホンで、長時間大音量で音楽を聴き続けることにも同様のリスクがある。
食生活にも気を配る点はある。ビタミンB群を意識して摂取することが重要だ。中でも、ビタミンB12は傷ついた神経を修復する働きを持ち、耳鳴りや難聴の内服療法などにも用いられる。ビタミンB12を多く含む食品としては、魚、レバー、貝類、卵などが代表的だ。
「日頃から栄養バランスのとれた食事を心がけ、適度な運動を行ない、良質な睡眠をとる。当たり前だと思えることが難聴予防につながるのですが、実践できていない人が多いのです」(同前)
聴力の低下は「認知症」「うつ病」「感染症」を発症するリスクを高め、さらには、「心疾患」とも密接な関係があるといわれている。難聴が命を脅やかす様々な疾患につながっている以上、放っておけば進んでいく症状を少しでも食い止める。それが健康寿命へとつながる道なのだ。
※週刊ポスト2020年3月20日号