国内

特殊詐欺犯、コンビニコピー機で警察官ID偽造の手口が横行

多機能化するコンビニコピー機を悪用(イメージ)

多機能化するコンビニコピー機を悪用(イメージ)

 自宅にパソコンはあってもプリンタは持たない、という人が多くなっているが、それでも印刷せねばならないときに便利なのが、コンビニにあるコピー機だ。ネットワーク機能と接続されたマルチコピー機なので、データを登録してコンビニへ行き、コピー機から出力できる。この機能を利用して地図やブロマイド、小冊子の販売も行われている。この便利なコンビニコピー機で警察の身分証のようなものを偽造した男が逮捕された。彼はなぜ何のためにそれをコンビニコピー機で作成したのか、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
 3月3日、滋賀県警は警察の身分証“のようなもの”を偽造したとして、岐阜県の男(20才)を「公記号偽造」の容疑で逮捕した。聞き慣れぬ罪状について、在阪民放局記者が解説する。

「偽の身分証には“日章(旭日章)マーク”のようなものが印刷されていました。これは国家公安員会によって“警察章”と定められたもので、警察手帳や警察帽などあらゆるところに表示されています。誰が見ても“警察のマーク”と認識されていて、こうした公の記号を偽造したり、不正に使用すると罰せられるのです」(民放局記者)

 逮捕されたこの男、警察のコスプレマニアなどではなく、特殊詐欺の「受け子」だった可能性が高い。警察の身分証のようなものを用いて、被害者宅などを訪問。相手に自身を警察官だと信じ込ませるために所持していたと見られるのだ。

「身分証には“滋賀県警巡査”という文言、それに偽名の記載がありました。詐欺のために男が作ったのかどうか、入手ルートも含めて捜査中です」(民放局記者)

 実は、特殊詐欺事件でこうした「偽の身分証」を用いるケースが激増している。今年一月、埼玉県警は偽の警察職員証を印刷したとして、こちらは“有印公文書偽造”の疑いで男を逮捕した。警視庁には存在しない「刑事課特殊詐欺防犯係」所属を示す身分証を、男はコンビニのプリント機を使って出力し所持。ちょうどその頃、近辺では警察を名乗り「貯金額を教えて欲しい」などの怪しい詐欺電話の入電が確認されており、男は警察のふりをした「受け子」の可能性が高いという。

 偽の身分証は、筆者が取材を通じて確認したもののいずれも、極めて完成度が低いお粗末なものばかりだ。先述したようにありもしない部署名が書かれていたり、ペラペラの紙に不鮮明な顔写真がプリントされていたりという塩梅だ。もはや相手に少しでも知識があれば「私は偽物なんです」と表明しているかのようなものに他ならないのだが、受け子たちが少しでも詐欺の成功率をあげようと「自作」しているのか。

「最近のトレンドは、警察や裁判所、金融庁などの“当局”を名乗った詐欺です。ですから、どうしても身分証が必要になります」

 こう話すのは、かつて特殊詐欺に関わっていた元暴力団関係者・M氏(30代)。司法当局を名乗り「あなたの口座から金が不正に引き出されている」等の電話をかけた上で、実際に司法当局の身分証らしきものを持った人物が金品を奪いに赴く。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト