国内

三島由紀夫vs東大全共闘 今の時代だからこそ胸に響く理由

三島vs東大全共闘が再び脚光(時事通信フォト)

「伝説の言論対決」と言われる三島由紀夫と東大全共闘の討論会。その全容がドキュメンタリー映画となって初めて明かされた。保守と革新、その両極が交わり、火花を散らす様は、今から半世紀前、1969年の日本にあった熱量をまざまざと見せつける。

 1000人を超える殺気立った学生ですし詰めの東京大学駒場キャンパス900番教室。入り口の看板に貼られたビラには、バーベルを持つゴリラの風刺画と、「東大動物園特別陳列品 近代ゴリラ(学名 ミシマントロプス)飼育料100円」の文字──。

 その会場にひとりで現れた筋骨隆々の作家が、目をぎらつかせる学生らを前にマイクを握った。

「男子門を出ずれば7人の敵ありというが、今日は7人じゃきかないようで。大変な気概を持ってここにやってきました」──映画『三島由紀夫vs東大全共闘』(3月20日公開)のワンシーンである。

 1969年5月13日、東大駒場キャンパスで東大全共闘(全学共闘会議)と三島の討論会が開かれた。当時、東大では機動隊によって次々にバリケード封鎖が解除され、全共闘の運動が行き詰まりを見せていた。一部の全共闘学生の中には、あえて対極の人間と対峙することで、いま一度闘争の機運を高め、現状の打開策を探ろうとする動きがあった。そこで白羽の矢が立ったのが三島だった。そこには「三島を完膚なきほどに論破して溜飲を下げよう」という学生の狙いもあったのだろう。

 映画はTBSが保存する映像を元にしたもので、80分の討論全編が映像で公開されるのは史上初。

 大学闘争の嵐が吹き荒れるなか、暴力を辞さず現体制の打倒を訴える全共闘と、保守的な思想で天皇主義者として知られる三島による“言葉と言葉の殴り合い”が克明に残されている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン