「敗戦とバブル崩壊で日本社会は2度折れましたが、実は1969年にも折れていた。あの時、若い世代には未来が存在せず、その先にどんな世界が広がるのか全くの空白でした。その意味で大きな転換点となった年でした」
そして2020年現在、日本は三島と全共闘が憂いた通りに、「従米路線」の限界を迎えている。田原氏は言う。
「『アメリカファースト』を主張するトランプ大統領が経済的にも軍事的にも日本から距離を取ろうとするなか、問われているのはまさに日本の自立です。この時代に三島と全共闘の討論会が公開される意味は大きく、いまだからこそ人々の胸に響くのだと思います」
三島は討論会の最後にこう語りかけた。
「私は諸君の『熱情』は信じます。他のものは一切信じないとしても、これだけは信じる」
没後50年。時代を超えて、三島の言葉が突き刺さる。
※週刊ポスト2020年4月3日号