なぜこれほどまでにめざましい成果が出たのか。その答えは、“偏狭な受験制度を気にしない指導”にあると西郷さんは考えている。
「一般的には“自分の内申や偏差値はこのくらいだから”という発想で、志望校を選択します。でもここでは、“自分の個性に合う高校はどこか”“自分がやりたいことのできる高校はどこか”を考えて選ぶ生徒がほとんどです」
偏差値ではなく、“自分とのマッチングで選ぶ”。それは、同校に広く浸透している。生徒たちに聞いてみると、スポーツの強豪校を選んだ生徒もいたし、バレエの道を究めるために高校進学はやめ、海外に飛び立つ生徒もいた。芸能界を目指す生徒もいれば、カメラマンになりたいと、専門的な高校を見つけてきた生徒もいた。
“やればできる”という気風は、生きづらさを抱え、教室に入れず廊下で過ごす生徒たちにも行き渡り、彼らも全員が自分に合った学校を選び、面接も試験対策もして合格を掴んだ。
自分で選んだ進路。進学後も意欲的な毎日を送るはずだ。
◆撮影/浅野剛
※女性セブン2020年4月9日号